結局、どこが一番いいんすか?
川田さんの”推しサウナ”は? …じゃなくて、本当に大切な「サウナ体験」の話
――川田さんって、もう日本中、いや世界中のサウナに行きまくってるイメージなんですけど、ぶっちゃけ、川田さん的に「ここが最強!」みたいな、特別な場所ってあります? こっそり教えてほしいです!
ははは! 最強ですか!(笑) いやー、本当に素晴らしい施設との出会いはたくさんありましたけどね…やっぱり僕にとって特別な場所、原点と言えば、さっきも話した、子どもの頃じいちゃんと通った奈良の温浴施設は、ちょっと別格ですね。

――やっぱり! 原体験の場所って、思い入れが違いますもんね!
そうなんです。大人になってからも、時々行くんですけど、行くたびに当時の記憶が鮮明に蘇ってくるんです。こないだの正月に行った時なんて、サウナ室に、まさに僕が子どもの頃と同じくらいの男の子たちが10人くらいワイワイ入ってて! それ見て、「うわっ!これだ!俺が見てた景色だ!」って、もう鳥肌立ちましたよ!
――30年以上経っても、同じ光景が…!なんか、エモいですね…!
でしょ!? で、その子たちのお父さんたちが後から入ってきて、一緒にサウナ楽しんでる。かつての僕とじいちゃんの関係が、そこにあったんです。さらに、湯上がりに休憩スペースを覗いたら、まさに昔の僕らみたいに、子どもたちがキャッキャ言ってて、それを見守るおじいちゃん、お父さんの姿がある。もう、その光景だけで胸がいっぱいになっちゃって…。
建物とかは改装されたりしててところどころ変わってますけど、あの場所が持つ「家族が集まる幸せな空間」っていう本質は、何十年経っても変わってないんだなって、すごく実感しました。
――施設のスペックとかハード面も大事だけど、それ以上に、そこで過ごした「時間」とか「誰といたか」みたいなソフト面が、川田さんにとっては重要なんですね。
まさにそれ!もちろん、サウナ室の温度とか湿度、水風呂の冷たさ、外気浴スペースの快適さみたいな物理的な要素も、体験の質には影響しますよ。でも、それ以上に「誰と、どんな時間を共有するか」っていう体験的な側面が、僕にとってはめちゃくちゃ大きな意味を持つんです。一級建築士として、そんな記憶に残る体験を生み出せると本望ですね。

――他に、そういう「体験」自体が忘れられない施設ってありますか?
特定の施設名を挙げる、っていうよりは、「大切な仲間と一緒に行くサウナ」での時間は、どの施設であっても、僕にとっては最高の体験になりますね。例えば、今日この後も、親しい友人と品川のサウナ施設に行くんですが、そのグループの中には、サウナ好きもいれば、サウナ初体験の人もいるんです。
――へぇー! 初心者の人も連れて行くんですね!
はい!本にも書きましたけど、サウナに慣れてない人にとっては、細かいマニュアル読むより、サウナ好きに連れてってもらうのが、一番安心だし、楽しめると思うんです。どこで着替えるの? 順番は?みたいな基本的な作法も、経験者の後についていけば自然と分かりますし、何より初めての場所での心細さが和らぎますよね。
――確かに! 一人じゃちょっとハードル高いかも…。
ですよね!だから僕も、積極的に、まだサウナの魅力を知らない友人とか会社の同僚を誘って、自分が「ここ、いいよ!」と思う施設に一緒に行くようにしてます。一緒にサウナ入って、水風呂入って、外気浴で「うわー…」って深いリラックス感を共有する。サウナの中では黙浴が基本だからあまり話さないけど、その後のご飯とかで「いやー、今日の水風呂、ヤバかったね!」「あの外気浴、マジで異次元だったわ!」みたいに感想を語り合うのも、また最高に楽しい。そうやって、サウナを通じて人の輪が広がっていくのを見るのが、僕自身の大きな喜びでもあるんです。

――川田さん自身が、サウナ文化の「伝道師」みたいになってるんですね!
いやいや、伝道師なんてとんでもない!僕がしてるのは、自分がサウナから教えてもらったこと、サウナを通じて得た最高の体験や気づきを、感謝の気持ちと一緒に、周りの人に分かりやすくシェアしてるだけです。サウナが持つ多様な魅力を、より多くの人に理解してもらえるような言葉や体験に置き換えて、繋いでる、みたいな感覚です。
だから、「おすすめのサウナ施設はどこですか?」って聞かれたら、もちろん素晴らしい施設はたくさんありますけど、それ以上に「ぜひ、あなたの周りにいるサウナ好きの人に、その人のお気に入りの施設へ連れて行ってもらってください!」って伝えたいですね。それがきっと、あなたにとって最高のサウナ体験を見つけるための、一番確実で、温かい方法だと思いますから!