サウナ本「シン・サウナ」著者であり、コクヨサウナ部創設者の川田直樹とは何者なのか!?書籍誕生秘話と、”好き”を力に変える思考法

by furosauna

“好き”って仕事にできるんすか?

コクヨ社員・川田さんのリアル。「面白がる力」で道を切り拓いたサウナ活動家の一面

――川田さんって、コクヨで働きながら、サウナアンバサダーとか、施設のプロデュースとか、なんかもう色々やってますよね。いわゆる「パラレルワーク」ってやつだと思うんですけど、ぶっちゃけ、どうやったらそんな風に「好き」なサウナを仕事にできるんですか!? その秘訣、教えてほしいです!

いやいや、秘訣なんて大層なものはないですよ(笑)。僕自身、「よし、サウナで食っていくぞ!」みたいにガチガチに計画立ててきたわけじゃなくて、色んなご縁とか流れの中で、気づいたらこうなってた、という感じなんです。強いて言うなら、「面白そう!」って思ったことに素直に飛び込んできたことと、それを「これ、めっちゃ良くない!?」って周りに言い続けてきたこと、ですかね(笑)。

――出ましたね、「面白がる」! やっぱりそれが鍵なんですか?

重要な要素だと思いますね。僕、実は高専出身なんですけど、高専ってちょっと独特で、良くも悪くも「オタク気質」な人が多いんですよ(笑)。自分の好きなことには、もう周りが見えなくなるくらい没頭するタイプ。僕も昔から「川田くんって、ちょっと変わってるよね」なんて言われると、「え、最高の褒め言葉じゃないですか!」って返しちゃうようなところがあって(笑)。

――なんと高専出身!高専ってめちゃくちゃ個性の強い人だらけで、「好き」に没頭できるタイプの人も多いですよね。自分の「変人」っぷりをポジティブにとらえる(笑)

自分の個性とか、「これが好き!」っていうピュアな気持ちは、すごく大事にしたいんです。例えば、高専時代、バイクにどハマりして、よくツーリング行ってたんですけど、ツーリング先で温泉とかサウナに入るのが、もう最高に幸せで!それがエスカレートして、フェリーで九州まで行って、現地のサウナ施設に泊まったりもしてました。当時はそれが仕事に繋がるなんて、1ミリも考えてなかったですけど、ただただ純粋に「バイク×サウナ、最強!」って思って楽しんでましたね。

バイクにハマっていた高専時代。

――好きなことを追いかけてたら、自然とサウナとの縁が深まっていった、と。

そうですね。会社に入ってからも、「僕、サウナめちゃくちゃ好きなんです!」って言い続けてましたし、社内にサウナ好き集めて「サウナ部」みたいな活動もしてました。最初は完全に趣味の延長でしたけど、続けてたら、社内外で「あ、サウナのことなら川田さんに聞けばいいんだ」みたいに、少しずつ認知してもらえるようになってきて。今では社内最大規模の部活になりました。

――コクヨっていう会社自体も、そういう個人の活動に理解がある感じなんですか?

それはめちゃくちゃ大きいですし、懐の深い会社には感謝しています。コクヨには「誠実な変態」っていう、ちょっと変わった褒め言葉があるんです。モノづくりに対して、真摯に、でも常識にとらわれず徹底的にこだわり抜く人を称賛する文化なんですけど。僕のサウナ活動も、ある意味、その「誠実な変態」スピリットだ!みたいに、面白がって受け入れてもらえた部分は大きいと思います。もちろん、本業の仕事はきっちりやった上での話ですけどね!

――なるほど!本業でちゃんとバリューを出しつつ、個人の「好き」も尊重されるって、最高の環境ですね!

それに加えて、僕自身の性格として、「プロデューサー気質」というか、自分が前に出てワーッとやるより、人と人を繋いだり、面白い企画を立ててみんなでワイワイやる方が好き、っていうのもあるかもしれません。だから、サウナを通じて、社内のコミュニケーションが良くなったり、部署を超えた繋がりから新しいアイデアが生まれたりするのを見るのが、純粋に楽しいんです。

書籍に書いた「会議室で3回話すより、1回のサウナ」じゃないですけど、裸になってリラックスしたら、普段の会議じゃ絶対出てこない本音が出たりするんですよ。そういうサウナの「効能」を、会社っていう組織の中でどう活かせるかな?って考えるようになったんです。

コクヨサウナ部は、今ではグループ全体で約200名規模の大所帯に

――自分の「好き」を起点にしつつも、それが周りや会社にどんな「いいこと」をもたらすか?って視点が超重要なんですね!

まさに!自分の「好き」っていう熱量が、どうやったら周りに「それ、いいね!」って伝播するか、どうやったら組織の課題解決に繋げられるか、っていう「掛け算する力」というか「編集力」が、すごく大事だと思います。

僕の場合はそれがたまたまサウナでしたけど、人によっては音楽かもしれないし、アートかもしれない、スポーツかもしれない。一見、仕事と全然関係なさそうな自分の「好き」や得意なことと、会社の目指す方向とか課題を、意識的にコネクトしてみたら、予想もしなかった化学反応が起きて、新しい価値とか面白いチャレンジが生まれる可能性って、誰にでもあると思うんですよね。

先日もその「好き」ってことってやっぱ大事なんだと思ったエピソードがありました。

――気になりますね。聞かせてください!

福岡にある会員制プライベートサウナ「SAKURADO」さんでトークイベントをやったんですけど、そこの女性スタッフの方も一緒に登壇していたので、僕が話した後、その方に「SAKURADOさんの魅力ってどんなところですか?」って質問したんです。でもその方は結構緊張していて、一生懸命で余裕がなさそうな印象でした。

――大勢の前でのトークショーとなると緊張もしちゃいますよね。

そうなんです。ただ、その方がスタッフをしながらも普段はDJとか音楽を作ることもやっていて、めちゃくちゃ音楽に対してこだわりがあるのも事前に聞いて知っていました。なので、きっと音楽は好きなんだろうと。僕もSAKURADOさんのBGMがめちゃくちゃ好きでかなり居心地がよかったので、その話を振ってみたんです。

そうしたら一気に表情が変わって「その音楽の周波数は〇〇でーー」とか「これはこういうこだわりがあってーー」とか、流れるように話しだしたんですよ。それがもう嬉しそうで、イキイキとされてましたね。

そのトークショーが終わってからも、お客さんからも音について色々聞かれたりしてました。完全にスイッチが入った瞬間が見えましたね。僕が見たいのはこういう景色なんですよ。「好きなこと」と「仕事」を繋げて、とことん楽しむということで、人生が豊かになっていく。僕の場合はそれがサウナだったんです。

福岡のプライベートサウナ「SAKURADO」。上質さと品格が漂いつつも、アットホームでビジネス仲間や家族でも利用しやすい場所だ

――よく「ライスワーク(食うための仕事)」と「ライフワーク(生きがいとしての仕事)」って言いますけど、川田さんにとってサウナ活動は、もう完全にその両方を満たしちゃってる感じですか?

そうありたいと思ってますね!もちろん、仕事だから大変なこともありますし、楽しいことばかりじゃないです。でも、せっかく人生の多くの時間を仕事に使うんだったら、それを「あー、だるいな…」って思いながらやるより、「これ、どうやったらもっと面白くなるかな?」「お客さん、もっと喜んでくれるにはどうしよう?」って考えながらやった方が、人生の満足度は上がると思うんです。

どんな仕事でも、その中に面白さを見つける「面白がる力」、周りを巻き込んで「面白がらせる力」、そして仕事そのものを「面白くする力」。この3つの力を意識して磨いていけば、ライスワークもどんどんライフワークに近づいていくんじゃないかな、って。僕にとってサウナは、その「面白がる力」を鍛えて、実践するための、最高の「人生の実験場」みたいなものかもしれません。

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