2021年6月30日、「キングオブ銭湯」と呼ばれ全国的にも有名だった足立区の銭湯、大黒湯は惜しまれつつ閉店した。閉店に際し、地元住民やSNS上などでは多くの惜しむ声が寄せられ、その建物の文化的価値をどうにかして守れないかとの想いから、解体がはじまるタイミングで移築保存のプロジェクトはスタートした。
大黒湯の「キングオブ銭湯」の愛称は、銭湯業界の第一人者であり、庶民文化研究家の町田忍氏が約30年前に名づけたもの。昭和4年に建てられた宮づくり銭湯は、唐破風の上に2重の千鳥破風があるなど、ほかに類を見ない荘厳な建築であったことから名づけられたという。町田氏によると、大黒湯閉店により「キングオブ銭湯」は永久欠番とのこと。
そんな「キングオブ銭湯」の顔であった唐破風屋根の移築場所は千住の古刹「安養院」。背景には住職の大英断があったという。移築の完了する9月23日(金祝)には「完成披露の日」として、唐破風屋根をくぐって中に入ることができる。当日は移築の経緯をおさめた写真スライド上映も実施される。
完成披露の日
日時:9月23日(金祝)10時~15時
場所:安養院(足立区千住5-17-9)
10:00~完成供養・読経
10:30~木遣り(鳶職)江戸消防記念会十一区
11:00~建物の中に入れます。都合の良い時間にご覧ください(移築の経緯をおさめた写真スライド上映あり)
安養院住職の思い
見るたびに「すごい建物だな~!」と思っていました。お寺よりも立派だよね~と。「キングオブ銭湯」とネーミングされていると聞いて、なるほど全国的にも名が知れているのだと納得したものです。保存運動があるのかと思っていましたが、間もなく解体されると聞き、いろいろ考えました。どこかに保存できないものかと。
ある日、朝の読経中に、ふと思ったのです。
「安養院ではどうか?」
建物解体寸前に、やっと大黒湯さんとお会いできて、翌日に承諾をいただきました。奇跡的な展開でした!ご縁があったのかなと思います。
千住の財産!それは間違いないですが、それ以上に、ある時代、ある地域にしか建てられなかった貴重な日本の文化財です。失くなってしまったら、二度と造れない建物だと思うと、悔いが残ります。正面の唐破風屋根部分だけですが、移築保存できて、多くの皆さんにも喜んでもらえたら。それが一番うれしいことです。そしてこのことが、銭湯や地域の振興と発展に役立つといいなと思います。銭湯ファン、そしてさらに広く、人の輪が広がることが楽しみです!
完成披露の日
日時:9月23日(金祝)10時~15時
場所:安養院(足立区千住5-17-9)
10:00~完成供養・読経
10:30~木遣り(鳶職)江戸消防記念会十一区
11:00~建物の中に入れます。都合の良い時間にご覧ください(移築の経緯をおさめた写真スライド上映あり)