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昆布干場を望む薪サウナ、2026年6月に誕生した北海道・広尾町「KOBU SAUNA」が描く静かな休息

北海道・十勝のサウナ文化は、今や全国のサウナーが羨望の眼差しを向ける「聖地」となった。その十勝の最南端、広尾町音調津(おしらべつ)という、かつては観光の文脈からは遠かった小さな漁師町に、また一つ強烈な個性を放つサウナが産声を上げた。

2026年4月にオープンした一棟貸しゲストハウス「日靜(にっせい)」の敷地内に、同年6月1日、待望のプライベートサウナ「KOBU SAUNA(コブサウナ)」が誕生。これは単なる宿泊付帯の設備ではない。この土地のアイデンティティである「昆布」と深く共鳴する、極めて編集的な体験装置だ。

昆布干場と共鳴する「KOBU SAUNA」の熱き静寂

KOBU SAUNAの最大の特徴は、その立地とマテリアルへの徹底したこだわりにある。サウナ室の窓の向こうに広がるのは、広大な「昆布干場」だ。

昆布漁のシーズンには、海から引き揚げられたばかりの昆布が敷き詰められる光景を、蒸気に包まれながら眺めることができる。この「日本オンリーワン」と言える景観こそが、都市部のプライベートサウナでは逆立ちしても作り出せない圧倒的な外気浴へのプロローグとなる。

KOBU SAUNA

サウナ室の設計も唸るものがある。熱源は薪ストーブで、ストーブを囲むストーンガードには、なんと昆布干場で実際に使われている石が詰め込まれている。この石が熱を蓄え、セルフロウリュによって放たれる蒸気とともに、音調津の空気感を肌へと伝えてくる。

また、サウナ室の壁面・天井の仕上げ材には、地元・広尾産の白樺羽目板を使用。薪ストーブの熱で木の香りが立ちのぼり、北の大地でサウナに入っているという事実を一層引き立ててくれる。

さらに、ドアの取っ手やサウナハット掛けにはエゾシカの角が使われており、入室前から北海道の野生味を視覚的に訴えかけてくるデザインだ。

KOBU SAUNA
KOBU SAUNA
KOBU SAUNA

十勝サウナの「聖地」を越えて。辺境の地にサウナーが足を運ぶ意味

近年、サウナ業界では「高スペック・高価格」な施設が乱立している。しかし、KOBU SAUNAが提示するのは、そうしたスペック競争とは一線を画す「物語」だ。施設の設計においてこだわられたのは、数値よりも「空気の流れ」である。

室内には多数の吸排気口が設けられ、本場フィンランドのサウナに近い、常にフレッシュな空気が循環する設計となっている。これにより、約90℃というしっかりとした熱さがありながら、呼吸が苦しくなく、自然と汗が湧き出る「神セッティング」を実現した。

KOBU SAUNA

また、サウナ室を出てすぐの場所に用意された水風呂は、約12℃とキリリと冷たい。十勝の厳しい自然が育んだ清らかな水に身を沈め、その後アディロンダックチェアに深く身を預ければ、潮の香りが脳を心地よく揺さぶるだろう。

これは、帯広市内の有名施設が提供する「完成されたエンターテインメント」とは異なる、より素朴で、より土着的な「ととのい」の形である。

KOBU SAUNA

地域おこし協力隊が仕掛ける、日常を「ゆっくり戻す」ための空間

この施設を運営するのは、町の地域おこし協力隊として移住した神部葵さんと関本凱斗さん夫妻だ。彼らが空き家をリノベーションして作り上げた「日靜」のコンセプトは、ノルウェーの妖精ニッセと「静か」を掛け合わせた「時間を忘れる居心地の良い空間」である。

タイトルの「KOBU」には、昆布の意味だけでなく、乾燥した昆布が水で戻るように「自分をゆっくり戻す」という意味も込められているという。

サウナブームが加速し、サウナが一種の「競技」や「義務」のようになりつつある現代において、何も無い漁師町の静寂の中で薪の爆ぜる音を聞く体験は、サウナーにとって最も贅沢な「戻し作業」になるはずだ。

「KOBU SAUNA」はどんなサウナーにお勧めか

KOBU SAUNAは、以下のようなサウナーにこそ訪れてほしい。

  • 「サウナのスペック」よりも「サウナの文脈」を愛する中・上級者:都市部の最新施設を一通り巡り、サウナの「その先」にある物語を求めている人。
  • 自然との一体感を求めるソロ・少人数グループ:一棟貸しのプライベート空間で、誰にも邪魔されずに薪サウナと向き合いたい人。
  • 十勝サウナ巡りの「通」な締めくくりを探している人:帯広周辺のメジャー施設を制覇した後の、ディープな十勝体験を求める人。

完全予約制のプライベート空間であり、宿泊だけでなく日帰り利用も可能だ。十勝の最南端、潮騒と薪の香りが交差する場所で、あなたの心身を「ゆっくり戻す」時間は、何物にも代えがたい価値となるだろう。

編集長

「コロナ禍で使われなくなった老舗旅館の会場を、コワーキング×温泉×サウナに転換する」という発想の転換、旅館の新しい生き残り方として完成度が高い。仕事帰りにサウナへ行くのではなく、仕事している建物に温泉とサウナがある状態、もはや理想の職場環境では?

KOBU SAUNA(ゲストハウス日靜 敷地内)

所在地:北海道広尾郡広尾町音調津733
サウナスペック:薪ストーブ(ホンマ製作所製)、セルフロウリュ可、室温約90℃
水風呂:軟水、約12℃、水深80〜110cm
休憩スポット:外気浴スペース(アディロンダックチェア完備)
利用形態:完全予約制、宿泊者優先(日帰りプランもあり)
料金:日帰りプラン 4名まで10,000円(税込、2時間半)
URLhttps://www.gh-nissei.jp/

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