
大阪の通天閣エリアに、歴史ある空き家をリノベーションした高級民泊施設「今昔荘 大阪 通天閣 -蒸気風呂邸-」が開業した。株式会社ファンバウンドと株式会社奈良屋が手掛けるこの施設は、廃業した呉服店を再生し、サウナを核とした宿泊体験を提供している。
荒廃した空き家から生まれた高級宿泊施設
この施設は、築年数不明の荒廃した建物「大和屋呉服店」をリノベーションしたものだ。元々は飛田遊郭を囲うコンクリート壁の一部を活用して建てられた建物で、改装前は1階から空が見えるほど屋根や床が抜けていた状態だった。リノベーションにあたっては、可能な限り建物の構造を残すことにこだわり、コンクリート壁を撤去した代わりに構造を補強している。この持続可能な開発アプローチはSDGsへの取り組みとしても評価されている。

サウナブームを取り込んだ施設設計
「今昔荘 大阪 通天閣 -蒸気風呂邸-」の最大の特徴は、大阪市内では珍しい男女で利用できるサウナ設備を完備していることだ。現在日本国内ではサウナがブームとなっており、特に需要が高まっている。施設内には「ととのい空間」も用意され、レコードプレーヤーで音楽を楽しみながらサウナ後の時間を過ごせる工夫がされている。
かつてこのエリアは「てんのじ村」と呼ばれ、大阪中の芸人たちが集まる場所だった。三味線の音色が聞こえ、公園では踊りや漫才の練習をする人々がいる明るい街だったという歴史を踏まえ、人々が集まり楽しい時間を過ごせる空間として設計されている。

インバウンド需要に応える広々とした間取り
4寝室、最大14名まで宿泊可能な広々とした間取りは、家族連れやグループ旅行者に好評だ。国土交通省観光庁のデータによると、訪日外国人旅行者数は2024年に大幅な回復を見せており、特に家族やグループでの長期滞在を好む旅行者が増加傾向にある。大阪万博の影響もあり、この地域は国内外からの観光客が集まる注目のエリアとなっている。
昭和レトロな雰囲気が残る新開筋中央商店街に位置し、タイムスリップしたような雰囲気を味わえるのも魅力の一つだ。
全国展開へ向けた今昔荘ブランドの拡大
「今昔荘」ブランドを運営する株式会社ファンバウンドは、2024年に日本初の民泊施設日本一を決める大会「BEST OF MINPAKU」でグランプリを受賞している。「立地が良く設備が充実」「お風呂が素晴らしい」「調理器具や洗濯機が揃い長期滞在に最適」といった評価を受け、暮らすように滞在できる快適さが特徴とされている。
既存施設の客単価はコロナ前と比較して1.5倍に上昇し、訪日外国人の家族旅行者やグループ利用者が増加している。現在、大阪を拠点とする「今昔荘」は、昨年は奈良、今年は沖縄への事業展開が確定しており、次の目標として東京進出を予定している。観光需要が高まる中、持続可能な宿泊施設としてSDGsを意識したリノベーションモデルを全国に広めていく計画だ。

サウナブームとインバウンド需要の高まりを背景に、歴史的建造物を活かした新しい宿泊スタイルを提案する「今昔荘」。大阪の新たな観光スポットとして、今後さらなる注目を集めそうだ。
今昔荘 大阪 通天閣 -蒸気風呂邸-
所在地: 〒557-0001 大阪府大阪市西成区山王3丁目11-28
アクセス: 大阪メトロ動物園前駅から徒歩7分
公式HP: http://konjakuso.jp/
電話番号: 06-4301-7792