
「こんなに暑いのに、わざわざサウナに行ってさらに汗をかくなんて正気か?」
夏本番を迎えるたび、非サウナーの知人から呆れ顔で言われる言葉だ。言いたいことは分かる。外を数分歩くだけで汗だくになるような猛暑日&酷暑日に、わざわざ100度の灼熱の部屋に飛び込むなど、正気の沙汰ではない。そんなことは百も承知だ。
しかし、私は声を大にして言いたい。「暑い日こそ、サウナに行け」と。
これは医学的な難しい理論の話ではない。日々サウナに通う編集部が、現場の皮膚感覚と身体で勝手に感じ取っている「夏の体感温度の逆転現象(バグ)」のリアルだ!
街の「不快な35度」と、サウナの「美しい100度」は別物である
まず理解してほしいのは、夏場の街中でかく汗と、サウナ室でかく汗は、全く別物だということだ。
真夏のコンクリートジャングルを歩いているときのアレを思い出してほしい。湿気を含んだまとわりつく熱気、排気ガス、服が皮膚に張り付くベタベタ感……。あの「35度」は、人間をイライラさせる不快感の塊である。「汗かきたくねぇなぁ」ブツクサと文句を言いながらかく汗だ。

一方で、サウナ室の「100度」はどうか。
服を脱ぎ捨て、全裸になり、静寂の中で向き合う熱気には、一切の不純物がない。じわじわと毛穴が開き、全身から汗がスッと吹き出していく感覚は、街中のダラダラ汗とは比べものにならないほど清々しいのだ。「汗よ!もっと出ろ!」と叫びたくなるが、叫ばない。黙浴だから。
サウナ室に入って数分経つと、私はいつも妙な感覚に襲われる。 「あれ……?昼間にアスファルトの上を歩いていたときより、100度のサウナ室の中にいる今の方が、なんだか心が穏やかで快適じゃないか…!?」
これこそが、夏のサウナが起こす第一の体感バグである。全裸で純粋な熱と向き合う方が、不快な服を着て湿気た街を歩くより、遥かにストレスフリーなのだ。かきたいときにかく汗と、かきたくないときにかく汗の精神的な違いだ。

水風呂から上がった瞬間、35度の猛暑が「涼しい秋風」に化ける
夏のサウナにおける最大のハイライトは、サウナ室を出た後に訪れる。
100度の熱で全身を限界まで温め、汗をしっかり流した後に飛び込む、15度〜18度前後の水風呂。冬場の水風呂が「猪木の闘魂注入」だとすれば、夏の水風呂は「棚橋弘至の『愛してま〜す』」だ。ファンにとってはどっちもご褒美ではあるが、火照った皮膚が冷水に包まれ、一気に毛穴が締まっていく爽快感は、夏でなければ絶対に味わえない。

そして、水風呂から上がり、体を拭いて外気浴のベンチに深く腰掛けたとき――とんでもない現象が起きる。あれほど憎らしかった夏のぬるい風が、皮膚をかすめた瞬間、「……え、めちゃくちゃ涼しいんだけど?」と感じるのだ。「好きな人が、優しかった…」そんなモー娘。ライクな感覚。
直前まで100度の熱と15度の冷水を行き来していた身体にとって、外の「35度」はもはや猛暑ではない。心地よいぬるま湯のような、あるいは初秋の夕暮れのような「マイルドで快適な温度」へと体感スペックが書き換わってしまうのだ!
サウナを出て施設を後にするとき、昼間は地獄だったはずの夏の夜風が、まるでご褒美のように愛おしく思える。この「体感温度の逆転」こそが、サウナーたちが夏にサウナへ駆け込む最大の理由なのだ!

ただし「夏サウナ」には編集部なりの“絶対ルール”がある
「暑い日こそサウナへ行け」と言いつつも、夏場のサウナを最高のものにするために、現場で徹底している独自の「鉄則」が3つある。どれも当たり前のことだが、夏場は特に命取りになる。
① サウナ「前」と「後」の水分補給は、やりすぎなくらいでちょうどいい
夏場はサウナに入る前から、日常生活ですでに体内の水分が失われている。サウナに入る前には必ず大きめのコップ2杯分の水やスポーツドリンクを流し込み、サウナ後も「これでもか」というくらい水分を摂る。カラカラの状態で無理に入るサウナほど、不快で危険なものはない。

② 無理に12分粘らない。「5〜7分」のライト入浴で十分気持ちいい
冬場のように「限界まで我慢して追い込む」必要はどこにもない。夏場は身体に熱が溜まりやすいため、汗もすぐ吹き出してくる。サウナ室に入って「あ、気持ちよく汗が出たな」と感じる5〜7分程度でサッと出る。短めの時間で水風呂へ向かう方が、夏場は圧倒的にととのいやすい。

③ サウナ「前」のビールは絶対にNG(飲むなら必ず上がった後に!)
「暑いからサウナ前に一杯だけ……」という欲望は命取りだ。アルコールが入った状態でサウナに入ると、気持ちよさどころか強烈な頭痛と不快感に襲われることを、私は過去の失敗から痛いほど学んでいる。最高のビールは、サウナを上がって水分を十分補給した後に取っておくのが、大人の嗜みである。

夏の猛暑のモヤモヤは、100度の熱と水風呂でしか洗えない
エアコンの効いた部屋に閉じこもり、冷たいものを飲みすぎて、なんとなく体が重くて不快な夏の日。 そんな日こそ、思い切って近くのサウナへ足を運んでみてほしい。
服を脱ぎ、100度の熱で思い切り綺麗な汗を流し、冷たい水風呂に身体を沈める。 施設を出たとき、あんなに嫌いだった真夏の空気が、驚くほど澄んで涼しく感じられるはずだ。
「暑いからサウナに行かない」のではない。
「暑いからこそ、サウナに行って体感をバグらせる」。
これぞ、酷暑の日本を生き抜くための、最も贅沢で爽快な夏の遊び方なのだ。

