
京都府北部・宮津市に位置する日本三景の天橋立エリアに、ブティックホテル「mizuya(ミズヤ)」が2025年5月1日、グランドオープンした。本施設は、丹後の海と京都の文化が交差する歴史ある港町の魅力を現代的に解釈した全9室の宿泊施設である。
日本古来の「水屋」文化を現代に再解釈
「mizuya」という名称は、寺社の参詣口にある「手水舎」や茶室の「水屋」から着想を得ており、古くから京都と日本海を結ぶ交通の要衝として、中国大陸や朝鮮半島からの文物が京の都に入る玄関口であった宮津の歴史的役割を象徴している。
ホテル内の各客室には、名前の由来となった「水屋」が設えられ、大きな部屋には茶釜を、小さな部屋には鉄瓶が配置されている。陶芸家・片川祐之介氏の茶器で京都の茶園から摘まれたお茶を楽しめる空間となっている。さらに壁面には黒谷和紙職人のハタノワタル氏率いる紙漉キハタノの手漉き和紙が使用されるなど、こだわりの装飾が施されている。




客室内サウナを含む多彩な宿泊オプション
「mizuya」最大の特徴は、客室内にプライベートサウナを備えた「サウナスイート」を提供している点である。全9室のうち2室がこのサウナスイートとなっており、室内でいつでも好きな時にサウナを楽しむことができる。この42㎡の広々とした空間には、ダブルサイズのベッドが2台設置され、最大4名まで宿泊可能だ。
さらに、共用エリアにも予約制のプライベートサウナが設けられている。最大4名まで利用可能なこのサウナは、宮津の自然を感じながら「ととのう」ための特別な空間となっている。木の香りや石の温もり、宮津の風を五感で感じながら、熱と水と静寂の中で自分自身と向き合う体験を提供する。利用料金は90分7,480円(税込)である。



地元の食文化を体験できるカフェ&バー「菓寮 浮雲」
ホテル1階には、カフェ&バー「菓寮 浮雲」が併設されている。朝食では「円卓」の庄本彩美氏監修のもと、丹後の郷土食「ばら寿司」にインスパイアされた御膳を提供。日中は「嶋ゞ」の小島直子氏監修による天橋立の自然をイメージした和菓子と茶のペアリングが楽しめる。京都の老舗「有職菓子御調進所 老松」の上生菓子と、地元・宮津の日本茶専門店「磯野開化堂」の日本茶のセットは、訪れる人を魅了するだろう。
夜の時間帯はバーとして営業し、お酒と和菓子、肴などを提供している。宮津の歴史と文化を感じさせる「曲水の宴」の趣を現代的に解釈した空間で、丹後の夜を満喫できる。





「mizuya」は、単なる宿泊施設にとどまらず、中国大陸・朝鮮半島の文物が京都へ至る玄関口であった宮津の歴史的役割を体現している。丹後ちりめんを使用したテキスタイルや、藤織作家・坂根博子氏による客室のルームナンバーなど、地域の伝統工芸を随所に取り入れた空間づくりにもこだわっている。日本三景・天橋立への観光と合わせて、サウナでリラックスしながら丹後の歴史と文化を味わう、新しい旅のスタイルを提案している。
mizuya
住所:京都府宮津市字鶴賀2085番地
アクセス:京都丹後鉄道 宮津駅徒歩5分(京都駅より電車で110分/自動車で約90分)
客室数:9室(サウナスイート 2部屋/デラックス 3部屋/スタンダード 4部屋)
公式サイト:https://mizuya-kyoto.com/