地方の問題をサウナが解決する!サウナに本気な小さな町、山形県西川町は地方自治体の「小さな巨人」になるか?

by furosauna

クラウドファンディング型ふるさと納税で、西川町を応援してほしい!


――続々と新たなサウナの取り組みをされていますが、そういったことを始めてから町に変化はありましたか?

鈴木 そうですね。町民の方々にも多く利用していただいているのですが、町外や他県の方々も多くお越しいただけるようになりましたね。西川町は2023年度から「ととのうなら西川」というキャッチコピーを掲げて、サウナを目的に町外から観光に訪れていただくことにも力を入れてきました。そういったイメージが徐々に浸透してきているのかと思います。山形県内の方々はもちろん、仙台からも車で1時間半程度で来ることができますので、アクセスしやすい場所ということも大きいですね。

――それは大きな変化ですね。小さな町が時流を読みながら課題解決を目指す、とてもいいモデルケースになりそうですね。

鈴木 まだまだそういった域には達していませんが、収入を増やす取り組みとしては色々とチャレンジしていかなければいけないですね。そのひとつとして、クラウドファンディング型のふるさと納税で西川町を応援いただきたいという取り組みも行っています。

一般的なふるさと納税だと、どうしても「返礼品ありき」になってしまって、町の魅力がなかなか伝わりづらいのではないかという思いがありました。クラウドファンディング型のふるさと納税は、地域を良くする取り組みに対してご参加いただくことができ、その御礼としてリターンをお返しするという本来あるべき「ふるさと納税」のかたちだと考えています。プロジェクト自体をご理解いただきながら、町の魅力も最大限に伝わっていただけると嬉しいですね。

「ふるさと納税 for Good!」は、クラウドファンディングとふるさと納税のいいところが合わさった、新しいタイプの「ふるさと納税」だ。

――クラウドファンディング型ふるさと納税のリターンとしてはどういったものがあるのでしょうか?

鈴木 水沢温泉館をお得に利用できる定期券や回数券、サウナ券やお食事券がセットになった入館券などがあります。これらを利用して水沢温泉館をたくさん利用いただきたいですね。町の方は定期券や回数券をよく購入されているようです。

――ここでの収入はどういったことに利用されるのでしょうか?

鈴木 水沢温泉館の修繕費用として使用していく予定です。水沢温泉館は男女の浴室を日によって入れ替えるかたちをとっていますが、一方の浴室には外気浴スペースがないんです。利用者の方のお声を聞きますと、内気浴だけだとやはり物足りなく、どうしても外気浴のある浴室の日にお越しになることが多いようです。そういったことを解消するためにも、現在内気浴しかない浴室に、新たな外気浴スペースを作るということも計画しています。

リターンもお得なものばかり!

サウナが好きすぎて西川町役場へ入職!


――それにしても本当に新たなサウナの取り組みを次々に行っていますね。鈴木さんも前半の町の課題をお話されている時と、サウナのことをお話されるときで、表情が全然違います。サウナの話をするとすごく嬉しそう。

鈴木 私もサウナが大好きですからね。西川町役場に勤めるきっかけになったのもサウナなんですよ。

――役場に務める勤めるきっかけがサウナ?それはいったいどういうことですか?

鈴木 元々は普通に民間の会社員だったんですが、仕事が忙しくてピークのときにサウナの入り方を知る機会がありました。元々はちょっとサウナが苦手だったのですが、そのときってあまりサウナの入り方を分かっていなかったときなんですよ。いわゆる「サウナ10分→水風呂1分→外気浴10分」を3セット程度やるという入り方を知らなかった。仕事も忙しくて自律神経も乱れまくっている時期にその入り方を人から聞き、どうにもこうにも疲れが取れないので騙されたと思ってやってみようかなと。そうしたら「あれ?なんだこれ?」という感じで全身から力も抜け、フワフワした状態になりました。これが人生の「初ととのい」でしたね。そこからは仕事が忙しくなればなるほど、休みがなくなればなくなるほどサウナに通いました。抜け出せなくなりましたね。

そんなある日、西川町で「サウナ好きの方、募集中」という求人を見つけてしまったんです。少し調べたら、菅野町長が町をあげてサウナの取り組みを行うと。それはもう自分の天命だと思いましたね。導かれるままに西川町の職員になりました。

サウナに本気な鈴木さん

――自分の好きなことをツールとして、町の抱える問題を解決するって、めちゃくちゃやりがいのある仕事ですね!

鈴木 そうですね。元々会社員だった頃は、役場の人ってお硬い人が多くて、いわゆる「お役所仕事」みたいに揶揄されるような仕事だと思っていたのですが、西川町に入職してみると全然違うんです。町長がかなりパワフルなので、仕事のスピード感もものすごく早いです。外から来られる方はみなさんおっしゃるのですが、まるでベンチャー企業みたいだと。そういったパワフルな現場で、町をよくするための取り組みの一端を担えるというのはやりがいがありますね。しかもそれが「本気でサウナに取り組む」という手段。私ももちろん本気ですし、町の様々な企業さんを巻き込んで、サウナについての議論もみなさん本気でやっています。

――サウナに本気…。サウナ室ばりに熱いですね!

鈴木 ご協力いただいている民間の企業さんたちとも、横で連携したチームを組んでおりまして、西川町のサウナをどう盛り上げていくかというミーティングを週に1回のペースで行っています。そのミーティングでの議論は本当に熱く、会議室がサウナ室になってるんじゃないかと思うくらいです。この議論が実って人口減少を食い止め、魅力を知っていただくことで人口の増加に繋げられればと考えています。

――本日はありがとうございました!


今、西川町が行っていることは、サウナで町おこしなんていうレベルではない。お二人の話からは、「サウナで町を救う」というものすごい強い意志を感じられた。

人口5,000人を切る小さな町で起きている様々なチャレンジは、どれも爆発力を秘めたもので、そのパワフルさは地方自治体の「小さな巨人」と言っても過言ではない。西川町のこれからの発展は、サウナの未来を語る上で外すことができない存在になる。そして何より、西川町がもつ課題の解決は、多くの地方自治体にとっても良いモデルになりうるだろう。これからの西川町に注目していきたい。

フロサウナの専門メディア

©2022 furosauna. All Right Reserved.

フロサウナは、いま注目のフロ、サウナ、スパなどの情報を求めさまよう「温浴開拓者」たちの「温浴メディア」です。