
小豆島の玄関口、土庄港。かつて40年以上にわたり旅人を迎えてきた「オーキドホテル」が、その歴史を継承しながらも全く新しい姿へと変貌を遂げる。2026年9月20日、ホテル「島泊」、レストラン「島飯」、そして温浴施設「島湯」からなる複合施設「島泊 / 島飯 / 島湯」がグランドオープンを迎える。
サウナーが最も注目すべきは、先行してリニューアルされていた「島湯」の再開だ。港を降りてわずか1分、そこには瀬戸内の海風と本格的な熱気が共存する、島内随一のサウナ環境が整えられている。
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小豆島サウナ文化の最前線へ。30分毎のオートロウリュが描く熱の記憶
今回のグランドオープンにおいて、サウナを主軸に据えた体験設計は極めて戦略的だ。かつてのホテルの浴場という枠組みを飛び出し、独立した「Bath house」としてのアイデンティティを確立している。
特筆すべきは、小豆島初となるオートロウリュ機能の導入である。フィンランドのSAWO社製タワーストーブが鎮座するサウナ室では、30分に一度、緻密に計算された水量でロウリュが実行される。室内は3段構成となっており、最上段では体感温度が一気に引き上げられる。

これまでの地方ホテルのサウナといえば、カラカラのドライ設定で「おまけ」程度の存在であることが多かったが、島湯は違う。
湿度と温度のバランスを重視した現代的なサウナ設計は、都市部のサウナ専門施設と比較しても遜色ない。むしろ、窓から入り込む瀬戸内の潮風を計算に入れた設計は、ここでしか味わえない「島の熱」を作り出している。

「半建築」がもたらす無機質な静寂。長坂常氏が設計した洞窟の如きサウナ室
建築設計を担当したのは、スキーマ建築計画の長坂常氏だ。「半建築」という独自の概念を提唱する長坂氏の手法は、この島湯においても鮮烈に表現されている。
浴室内に一歩足を踏み入れると、コンクリート打ちっぱなしの壁面と天井が、まるで洗練された洞窟のような静寂を演出している。過剰な装飾を削ぎ落とした無機質な空間は、情報の遮断を求める現代のサウナーにとって、これ以上ない瞑想の場となるだろう。

この「あえて作り込みすぎない」設計が、サウナ室における感覚の鋭敏化を助長している。
木の香りが漂うサウナ室、そして水中に照明を仕込んだ幻想的な水風呂。視覚的なノイズを排除した空間構成は、ロウリュの音や水に包まれる感触といった「身体的体験」を主役へと押し上げているのだ。

チラー完備の14度水風呂と瀬戸内の海風。島独自の「ととのい」を解釈する
サウナーにとっての生命線である水風呂についても、一切の妥協がない。水温は常に14度前後に保たれ、深さは最大110cmを確保。地方の温浴施設では水温が季節に左右されることも珍しくないが、ここではチラーによる徹底した温度管理が行われている。
14度という設定は、ロウリュで熱を帯びた身体を瞬時に引き締めるのに最適な「攻め」の温度だ。さらに、水風呂から数歩でアクセスできる外気浴スペースには8脚の椅子が設置され、土庄港を抜けてくる海風をダイレクトに受けることができる。
これは、都心のビルに囲まれたサウナでは決して再現できない体験だ。温泉成分である「小豆島温泉 塩の湯」の塩分が肌に残った状態で受ける潮風は、身体を自然の循環の一部へと戻していくような、独特の浮遊感をもたらしてくれるだろう。

宿泊施設「島泊」が提供する、サウナ後の「風待ち」という贅沢
サウナ体験をさらに深化させるのが、併設された宿泊施設「島泊」である。ここは「風待ちの寄宿舎」というコンセプトのもと、多様な滞在スタイルに応える客室を備えている。
2階フロアは建物の構造をあえて剥き出しにした開放的な空間で、天井高4.5mを誇る客室には壁で仕切らない檜風呂が設置されている。一方、3階フロアは外壁や船体に使われる丈夫なFRP建材で仕上げられ、半透明の建具が柔らかな光の揺らぎを生み出す。

サウナで感覚を研ぎ澄ませた後、「素材の質感」に囲まれて眠る体験は、単なる宿泊を超えた感性のリカバリーとなるはずだ。土庄港を望む広場で船を待つように、静かに島の時間と同化する滞在こそが、この施設の真骨頂といえる。


「島泊 / 島飯 / 島湯」どんなサウナーにお勧めか
島湯は、以下のようなサウナーに特にお勧めしたい。
- 瞑想を好む上級サウナー:無機質で静寂な空間設計は、自分自身と向き合うディープなセッションに最適だ。
- 建築・デザイン好きのソロサウナー:長坂常氏の意匠を肌で感じながら蒸される体験は、知的好奇心をも満たしてくれる。
- 島旅をアップデートしたい旅人:宿泊施設「島泊」を拠点にすれば、朝・晩と異なる表情のサウナを独占できる。
地方のサウナが「レトロ」から「モダン」へと進化する過程において、島湯はその到達点の一つとなるだろう。


コマシ
コンクリートの冷たさとサウナの熱、そして110cmの深めな水風呂のコントラストがエグい。30分に1回のロウリュを狙って、港の風に吹かれるのが今から楽しみ。ストイックに自分を追い込みたいソロサウナーは絶対ハマるでしょうね。
島泊 / 島飯 / 島湯
所在地:香川県小豆郡土庄町甲5165-216
オープン日:2026年9月20日
島湯営業時間:6:00~9:00 / 15:00~23:00
サウナスペック:SAWO製ストーブ、オートロウリュ(30分毎)、TV無
水風呂:14度前後、水深80~110cm、水中照明あり
入浴料:大人1,650円(島民割引1,200円)
URL:https://shimahaku-shimameshi-shimayu.jp/