
愛知県名古屋市の中川運河沿いに、サウナの壁面そのものが「森の記憶」を刻む新ホテルが姿を見せた。
関西を中心にコミュニティホテル「セトレ」を展開する株式会社ホロニックが、東海地区初進出となる「セトレキャナル名古屋」を2026年6月18日に開業した。浴室に設けられたサウナには、愛知県瀬戸市にある里山「海上(かいしょ)の森」の間伐材が使われている。
海上の森の間伐材、サウナに編み込まれた二つの土地
海上の森の間伐材は、適切な森林管理のために伐採される地域資源だ。
「セトレキャナル名古屋」はこの木材を浴室のサウナに採用し、ただの温浴設備としてではなく、地域の森と利用者をつなぐ装置として位置づけている。木材に刻まれた溝は中川運河の穏やかな「波」をモチーフにデザインされ、場所によって異なる表情を見せるという。繊細な凹凸が木の温もりや自然の揺らぎを感じさせ、まるで森の中に身を置いているような心地よさを生み出す仕掛けだ。
サウナ室という限られた箱の中に、瀬戸の山と中川の水という二つの土地の記憶を同時に編み込んでいる点が、この施設の核心だろう。

都市の真ん中で、森を呼吸するととのい方「セトレキャナル名古屋」
名古屋駅から徒歩15分という都市部に位置しながら、サウナで身体を温め、半屋外の浴場やテラスで風を感じる時間が用意されている。これは単なるリラクゼーションではなく、地域の森や自然環境との関係性にふと想いを巡らせるきっかけになるという狙いがある。
都市にいながら森の息吹を感じる、というのが「セトレキャナル名古屋」ならではの「ととのう体験」だ。

サウナを出た後は、お風呂とサウナのすぐ隣に設けられたMio Terraceで、火のぬくもりとともにドリンクを片手に余韻を味わうこともできる。新幹線の走る気配を遠くに感じながら焚火を眺める時間は、都市型サウナ施設にしては珍しく、街と自然の境界をあいまいにしてくれる。

地域材サウナという潮流のなかで
近年、日本各地のサウナ施設では、地域の木材や工芸を内装に取り入れる動きが目立つようになっている。サウナが「ととのう場所」であると同時に「土地を物語る場所」として受け止められるようになったことの表れだろう。
多くの宿泊施設のサウナがメーカーの既製パーツをそのまま導入するのに対し、セトレ キャナル 名古屋は瀬戸の間伐材という具体的な地域資源を選び、運河の風景とリンクさせる設計に落とし込んでいる点が際立つ。

セトレグループはもともと「つながり、つなぐ」をコンセプトに、地域の歴史や食、人の魅力を編集してきたブランドであり、その姿勢がサウナという小さな空間にまで貫かれていると見ることもできる。地域文脈をサウナ単体の体験にまで落とし込んだ事例として、業界的にも興味深い試みだ。
この施設は、水辺の複合施設「NAKAGAWA CANAL DOORS」の中核としても誕生している。ホテル単体の浴室サウナでありながら、周辺のカフェやワークスペースと地続きになっている点も、運河という地域そのものを「ととのいの舞台」に変えようとする狙いの表れと言えるだろう。


「セトレキャナル名古屋」はどんなサウナーにお勧めか
間伐材の意匠や、土地に紐づいた設計を眺めながら静かに整いたい人にこの施設は向いている。複数セットで熱く攻めるタイプのサウナではなく、半屋外浴場とテラスでじっくり腰を据えて余韻を味わうスタイルなので、ソロでの滞在や、出張帰りに一人で羽を伸ばしたい人、木材や建築意匠に関心がある初心者から中級のサウナーに特に向くだろう。
複数人での「サ活」目的というより、一人の時間をととのえる宿泊体験として選びたい一軒だ。




ジョー
間伐材の溝に触れていると、捨てられるはずだった木が運河の波になって体に触れてくる構図にちょっと唸った。熱量で攻めるタイプのサウナではないけれど、木目と静けさで整いたい派にはむしろ刺さるはず。出張帰りに一人でこっそり寄りたいサウナだ。
セトレ キャナル 名古屋
所在地:愛知県名古屋市中川区運河町2番7号-2
アクセス:名古屋駅から徒歩15分、ささしまライブ駅から徒歩5分
開業日:2026年6月18日(木)
客室数:24室(地上3階建て)
レストラン席数:26席
浴室・サウナ:海上の森(瀬戸市)の間伐材を使用したサウナ、半屋外浴場、Mio Terrace併設
URL:https://www.hotelsetre.com/lp/nagoyaopen/