
大分県九重町に位置する「霊泉 寒の地獄旅館」が、2025年4月より平日限定で貸切および団体宿泊の受付を開始する。この温泉旅館は、全国でも珍しい13~14℃の冷泉を備え、2023年には薪ストーブを導入した「暖の地獄サウナ」も新設されたことで注目を集めている。
江戸時代から続く「霊泉 寒の地獄旅館」の歴史
「霊泉 寒の地獄旅館」は、江戸時代末期の嘉永2年(1849年)に開湯した歴史ある温泉宿であり、大分県九重夢温泉郷の一つとして知られている。かつて村人たちが傷を負った猿が冷泉に浸かっているのを見つけ、周囲を石で囲って湯舟を作ったのが始まりとされている。
この冷泉は全国的にも珍しく、毎分2トンもの自然湧水が足元から湧き出している。泉質は弱酸性の硫黄泉で、メタケイ酸を豊富に含み、肌に優しいことで知られている。13~14℃の水温は年間を通じて一定であり、サウナの水風呂としても理想的な環境を提供する。

「暖の地獄サウナ」と冷泉の絶妙な組み合わせ
2023年秋に新設された「暖の地獄サウナ」は、フィンランドのサウナメーカーharvia製の薪ストーブを採用し、100℃を超える高温環境を実現している。独自の空気流設計により、どの位置に座っても息苦しさを感じさせない快適な空間を提供する。
また、サウナでは地元産のほうじ茶を使用した「ほうじ茶ロウリュ」が楽しめるほか、夜間には提灯の明かりが灯され、幻想的な雰囲気の中でととのう体験ができる。サウナシュラン2023にも選出されるなど、全国のサウナ愛好者からも高い評価を得ている。


貸切・団体宿泊プランの詳細
今回新たに提供される貸切プランは、1泊2食付きで冷泉サウナも利用可能な贅沢な内容となっている。基本料金は15名まで330,000円(消費税・サービス料込み)で、16名以上の利用の場合は1人あたり22,000円の追加料金が発生する。最大収容人数は38名で、新館和室7部屋、本館和室4部屋の計11部屋が用意されている。


伝統の湯治文化と食のこだわり
「寒の地獄温泉」では、大正時代から湯治場としての文化が根付いており、療養目的の長期滞在者も多く訪れてきた。冷泉の効能が評価され、地元の人々だけでなく全国各地からも湯治客が集まる。
また、旅館の食事も注目すべき点の一つである。全国各地の日本酒を取り揃え、飲み比べができるプランも用意されている。料理は、地産地消の食材を活かしながらも、日本各地の厳選食材を取り入れたこだわりのメニューとなっている。前菜には「馬鈴薯鮪酒盗添え」や「虹鱒昆布締めなめろう」など、酒に合う逸品が並ぶ。
「霊泉 寒の地獄旅館」の4代目館主は、「この冷泉は神秘的で美しく、泉温13~14℃の冷泉に夏季以外にも1年を通してより多くの方にご入浴いただいている。100年後の未来もかわらず『霊泉 寒の地獄』に入浴する文化が続いていくことを夢見て秘湯の湯守を担っていきたい」と語る。
今回の新プランを機に、これまで訪れることが難しかった人々にも、寒の地獄温泉の魅力を存分に味わってもらいたい。


「霊泉 寒の地獄旅館」が提供する平日限定の貸切・団体宿泊プランは、冷泉と薪ストーブサウナを存分に楽しめる特別な機会。長い歴史を持つ湯治場の風情と、最新のサウナ体験が融合したこの温泉宿で、心身ともに癒されるひとときを過ごしてみてはいかがだろうか。
寒の地獄旅館
大分県玖珠郡九重町田野257