ホーム » 全ての記事 » 「ととのうパンツ®」に見るサウナと下半身の意外なカンケイ。中川ケイジが目指す「新・締め付けない文化」とは

「ととのうパンツ®」に見るサウナと下半身の意外なカンケイ。中川ケイジが目指す「新・締め付けない文化」とは

by furosauna

みなさんは「ふんどし」というとどういった印象を持っているだろうか?ある人は日本の歴史を思い出し、ある人はお祭りなどを思い出す。和太鼓叩きながら「出てこいや!」なんて言ってたあの人を思い出したりする人もいるだろう。どちらかと言うと硬派なイメージを持つ「ふんどし」。なんにせよ「現代のアンダーウェア」として思い浮かべる人は少ない。

実はそのふんどし、体の締め付けから解放されて全身の血行が良くなり、睡眠の質も上がるという究極のリラックスウェア」としての特長をもつ。一般的なパンツにあるようなウエストのゴムもない、ピッタリフィットでもない、限りなくノーパンに近い形はまさに「下半身の解放」。いかに私たちが日常的に下半身束縛状態なのかが「ふんどし」を穿けばわかるというわけ。「迷わず穿けよ!穿けば分かるさー!(ふんどしを)」と叫びだしたくなる気持ちは、穿いている人にしかわからない。大声で言わないだけで「実はふんどしです」、なんなら「実はノーパンです」という人、世の中には一定数いるのだ(たぶん)。

有名人たちも絶賛!ふんどしの上位互換「ととのうパンツ®」

今回、そんなふんどしからインスパイアを受け、常時「実はノーパンです」状態を実現する「サウナ専用リラックスウェア」が開発されたのをご存知だろうか?その名も「ととのうパンツ®」。ふんどし、解放、サウナ、ととのう。リラックスワードがモリモリのこのパンツは、一般社団法人日本ふんどし協会 会長の中川ケイジ氏によって開発された。日本のふんどし業界のリーディングパーソンといっても過言ではない同氏は、自身の経験からリラックスすることの重要性を感じ、大真面目にふんどしを追求。そして今回、自身もサウナーであるということもあり、この「ととのうパンツ®」にたどり着いたのだ。

多くの有名人たちもそのリラックス効果に魅了され、あらゆる場所でその「パンツ自慢」を繰り広げている。筆者もその一人ではあるが、もはや抜け出せない世界に入ったのだ。

今回は、そんな「ふんどし」に人生をかけ、サウナー全員を「ととのい」へと導く究極のリラックスウェア「ととのうパンツ®」を製作する同氏に話を聞いた。

ノーパンへの強いこだわり

――常時ノーパンでいられる「ととのうパンツ®」、思い切ったプロダクトですね。

そうですか?もう「ふんどし歴」が長いので、自分ではノーパンはあまり奇抜なことではないですよ(笑)
ふんどしのリラックス効果をみなさんに知っていただくために、受け入れられやすい形にしたというだけなんですけどね。

――私のサウナ仲間の間でも話題です。ビックリするくらい強いこだわりが詰まっているように見えます。

そうですね。「ノーパンで穿く」っていう根幹のコンセプトがある中で、体を締め付けないことはもちろん、素材やデザイン、機能性に至るまで多分こだわってない部分がないくらいです。二重構造になってるんですけど、肌に当たる部分は独自で開発した立体構造になっていて、これは10年間「ふんどし」でやってきた技術を組み込みました。

――使ってみると分かるんですが「なんでこんなに穿くだけで気持ちいいんだろう」って。ちょっと衝撃的でした。

ありがとうございます。ふんどしを作っていて分かったのですが、ふんどしを買ってくださる方たちって、実は何か肌にトラブルを抱えている人が多いんです。デリケートな肌の方でも安心して使えるものを追求していくと、縫い目の部分やボコボコした面が一切肌に触れないという構造になりました。これはどんな人であっても開放感や気持ちの良さに繋がるものなんですよね。

――人生で「下半身を解放する」ことってそうそうないことですから、不思議な感覚です。

人間って生まれてからも紙オムツを穿いて、大体の人はずっとパンツを穿いてるわけですよ。「ととのうパンツ®」はパンツを穿いてズボンを重ねて穿くのではなく、これ1枚しか穿かないので、ウエストのゴムが重要になってきます。そのゴム部分が2重か1重かによって、締付けの感覚って全く別のものになるんです。「ととのうパンツ®」は表記サイズより大きめで緩めのゴムが入っていますが、そのゴム自体も特殊です。全く圧迫感のないゴムなんです。

――徹底的に圧迫感を排除していく、と。

そうですね。本当はゴムすらも入れたくないくらい(笑)
ただ、実はその部分はカスタマイズ可能で、ゴムを断ち切って外したい人用の穴もあります。タレントのいとうせいこうさんにもご使用いただいてますが、いとうさんはゴムを切って使ってくださってます。

――素材もすごい気持ちいいんですけど、ここにもこだわりが?

生地自体も、世の中には安いものから高いものまで色々あるじゃないですか。これも色々と検討する中でやはり「日本人の手が関わっているかどうか」はとても大事なことだと思い、こだわりました。外側の生地のシアサッカーも内側のダンガリーコットンも、100%メイドインジャパンのものを使っています。

一見、普通の青年。もちろんこの日もふんどしを穿いている
もはやこだわってない部分なんて存在しない(ととのうパンツ公式サイトより)

自分自身が最もレビューするユーザー

――本当にこだわってない部分ないですね。恐ろしいくらいこだわってる。

もはやそうですね。自分が愛用しているってのもあるんですけど、人にも自信持ってオススメしたいんで、ちょっとでも気になる部分を残したくないというか。少しでも中途半端な部分は残さないようにはしましたね。自分が一番使ってるユーザーだと思っているので、「自分が使っていて気持ちいいか」「自分が満足できるか」はひとつの基準になっています。

――ご自身がユーザーとしてレビューしながら広報や営業ができるって、実はそれ以上の売り方ってないですよね。

野菜とかでもそうだと思うんですが、生産者の顔が見えるって安心するじゃないですか。こういったプロダクトも一緒で、造り手の顔が見えることで安心してもらえる部分って少なからずあると思うんですよ。僕自身はこの「ととのうパンツ®」に関わってくれている全員の個人名を言えるくらい知ってますので、お客さんには僕を見て安心してもらえれば。

――個人で製造から流通まで動いているからこそできる技ですね。

徹底的に安心感をご提供したいんです。だからこそ何も隠し事はしないようにしています。なんせ「ととのうパンツ®」の公式サイトでは原価まで公開してますからね(笑)
購入していただける方には徹底的に納得してもらいたいので。

――なかなか大手にはできない形ですよね。

できないと思いますが、このノーパンで穿けるパンツの文化は広まっていってくれると嬉しいと思っていて、そのためにはユ●クロさんとかが作ってくれると一気に広まるんですけど(笑)

――ノーパンなだけではなく、仕事まで「丸裸」にする、と。

僕には僕のできることをやっているっていうだけですけどね。大規模に販売するっていうのはやはり大手じゃないと難しい部分もあるとは思うので、僕はあくまでも今までになかった新しいライフスタイルを提案するという「気付き」の部分でふんどしや「ととのうパンツ®」を提供していく。ノーパン文化の「元祖」になりたいですね(笑)

――世の中には「二番煎じ」のようなものって溢れてますからね。そういったものは大体本家より安くなり、質もそれなりになってしまう。そんな中でも「本物」を求める人は必ずいて、だからこそ「こだわり」を捨ててはいけないわけですね。

気さくで陽気だ。締め付けがなくなると人はここまで明るくなれる

穿く人だけじゃなく、作る人たちも気持ちよくなってほしい

あと、関わってくださっている人たちも「気持ちいい」かどうかはかなり重要視しています。気持ちよく仕事していただくために、縫製費用とかも値切りません。

――うわ!カッコいい!

今、そういった縫製工場ってコロナ禍でバタバタと潰れてるんですよ。元々海外の工場で作っていたようなものがコロナの影響で日本に製造拠点を戻すような動きもあります。海外は安いですから、日本の工場も値下げを要求されるんですよね。そうなるとだんだん経営が苦しくなって潰れちゃうと。せっかくの日本の高い縫製技術が失われてしまうというのは本当に悔しいことです。「いっぱい作ったって、これ薄利だからなぁ」って思いながら作れば、そりゃある程度の製品エラーはでますよ。気持ちよく作ってもらえればそういったことはなくなりますし、その想いは商品に宿ります。

――みんなが「気持ちよく」仕事するって、なかなかできることではないですよね。それが自分の部下や同僚だけとかならまだしも、そこに関わるすべての人が「作っていて気持ちいい」って、理想的なプロダクト開発です。

工場の人たちが「なんか変なふんどしのお兄さんがめっちゃ頑張ってるから、私たちもがんばろう」って手を取り合いながらやってるって、なんか素敵じゃないですか(笑)

――お話を伺っていると、「売る」ことへのこだわりよりも「作る」ことへのこだわりがとても強い印象があります。

そうかもしれないですね。「ととのうパンツ®」を通して、僕は何を届けたいのかっていうのはずっと頭にあります。10年間ふんどしを作ってきましたが、「ふんどしを売りたい!」っていうわけではなかったかもしれません。僕は過去に鬱を経験しているのですが、そのツラかった時に人から薦められるままにボクサーパンツを脱いでふんどしを穿いてみたら驚くほどグッスリ眠れたんですよ。それはもう感動体験でした。そこからふんどしの話をしているときだけはむちゃくちゃ楽しくて。あの感動体験を提供したいというのはこだわりとして持っているんだと思います。

――あくまでもプロダクトは「体験」を提供するための要素にすぎない、と。

そうです。「ふんどし」も「ととのうパンツ®」も、価値はその体験にあるんです。極端に言うと、この感動を提供するためならプロダクトじゃなくてもいいんです。ただ、僕が今表現できることがこの「ととのうパンツ®」だったという感じです。

――販売のポップアップイベントなどにも精力的にご参加されてますね。

まだまだ駆け出しのブランドなんで、僕自身の想いを届けに行きたいんですよね。こういったことって体験した人間からじゃないと伝わりづらい部分もあるんですが、伝わると買ってみてくれたり。「よく分からんふんどしの会長」が熱弁するわけですが、そこで購入してくださるお客さんは熱意や情熱を買ってくれたんだろうなぁと。感謝しかないですね。僕自身が営業活動は苦手な部分なので、間借りする百貨店側にもいいものだと理解してもらうのは大変でしたけど。

――そこで購入するお客さんって本物ですよね。またその人たちから口コミで広がったりもしますし。

先日行った伊勢丹新宿でのポップアップでは、サウナに興味のない方にも買っていただけました。「サウナ後に穿く」という謳い文句ですが、「リラックス」という部分に興味を持っていただけたのは嬉しかったですね。

「誰もふんどしなんて欲してない」が転機に

――長年ふんどしを作り続けて、「ととのうパンツ®」に行き着いたきっかけは何かあったんですか?

それは2つあります。1つは僕がサウナにハマったということ。コロナ禍であまりどこにも行けなかったときに、近くのジムだけは行っていたんです。そこにはサウナもあるんですけど、あまり使ってなかったんですよ。使うようになったのはタナカカツキさんの「サ道」を読んだことがきっかけですね。サウナに入って、水風呂に入って、椅子で休憩。ととのいますよね。そうしたら「なぜ僕は今までサウナを使っていなかったんだ!」っていう、ふんどしに出会ったときくらいの衝撃があったんです。

――一度“ととのう”ともう中毒が発生しますからね(笑)

もう1つは「ふんどしなんて誰も欲しいって思ってないよ」って、とても近い存在の人から言われたことですね。僕、10年間これ一本でやってるんですよ(笑)

――それはキツい。10年やってるのに…

10年間ふんどしで食べてるんですけど、すごい近い人に真顔でそんなこと言われて…。ただ、そこで気付かされたんですよね。ふんどし一本で食っていけてはいたので、自分の中では「世の中の人はふんどしを求めている」と勘違いしていた部分もあったんですよ。何のニーズも世の中にないのに、自分が勝手にやってるだけなのに。そこで、「そうだったのか!」っていう気付きがありました。

――その気付きとサウナが交わっていくと。

そうなんです。「ふんどしなんて誰も欲しいって思ってない」って言われて悔しかったのもあって、だったら「このふんどしの要素を活かした開放感を味わえるものを作ろう」っていうことからスタートしました。多くの人に受け入れられる形って何なんだろうっていう模索が始まりましたね。その中で、ちょうどサウナにハマっているということもあり、サウナ用に解放感が得られるものを作ろうというのはありましたね。

――「ととのうパンツ®」自体の形はどうやってたどり着いたんですか?

僕の中で、毎年「夏に何穿く?問題」ってのがあって、ステテコとかスポーツブランドのウェアもいいんですけど、やっぱり丈の長いものは嫌なんですよね。ハーフパンツでさえもまだ長いと思ってました。水着とかなら短いのもありますけど、中にブリーフとかがくっついてるからふんどしも穿けないし…。快適なショートパンツを作ろうというところから今の形に行き着きました。

――確かに快適なリラックスウェアとしてのショートパンツって、パジャマみたいなものならありそうですけど、それ1枚で生活を完結できてしまうほどのものってありませんね。

そうなんです。サウナに行くと、せっかく血行もよくなってととのったにも関わらず、ボクサーパンツを穿く人を見ると「もったいない!」ってなってたんですよね。そういう人たちでも「ととのうパンツ®」1枚あれば、それでサウナに来て、休憩所でもそれを穿いて、そしてそのまま帰る。そして家についたらそのまま寝るっていう「ずっとリラックス」状態でいられると思います。

合わせて読みたい

フロサウナの専門メディア

©2022 furosauna. All Right Reserved.

フロサウナは、いま注目のフロ、サウナ、スパなどの情報を求めさまよう「温浴開拓者」たちの「温浴メディア」です。