
北海道のサウナシーンに、また一つ、日本海の潮風を感じる新たな拠点が刻まれた。2026年7月1日、積丹半島の付け根に位置する泊村にグランドオープンした「盃温泉 弁天の湯」だ。
これまで多くのサウナーを惹きつけてきた積丹エリアだが、この新施設の誕生は単なる「温泉の建て替え」以上の意味を持っている。公開された設備情報や利用者の声を分析すると、そこには公共施設という枠組みを超えた、極めて現代的かつ戦略的なサウナ設計が見て取れる。
30分間隔のオートロウリュがもたらす、地方公共サウナの「高密度」体験
「弁天の湯」のサウナ室において、最も注目すべきは30分おきに設定されたオートロウリュである。
地方の公共温泉におけるサウナは、これまで「おまけ」程度の位置付けであることが多かった。しかし、ここでは30分という高頻度で新鮮な蒸気を供給する仕組みを導入している。これは、サウナ室内を常に理想的な湿度に保つだけでなく、いつ入室しても熱波の恩恵に預かれるという「体験の均質化」を狙ったものだ。

新築ならではの木の香りが漂う室内は、本格的な熱さを追求しながらも、居心地の良さを両立させているという。
この「湿度重視」の設計は、近隣の既存の名湯との差別化を明確にしている。先行施設が持つ圧倒的な歴史や泉質に対し、こちらは「最新のサウナコンディション」という武器で、感度の高いサウナーを呼び込む構えだ。

弁天島伝説と共鳴する、ストーリー性豊かな外気浴の価値
サウナ後のクールダウンにおいても、この施設は唯一無二の価値を提供している。露天エリアから望む「弁天島」の景色だ。
この島には、アイヌの娘の恋が実を結んだという「弁天島伝説」が残されており、古くから祈りの場所として親しまれてきた。サウナ室で極限まで集中を高めた後に、この物語が息づく島を眺めながら潮風に吹かれる。それは、単なる物理的な冷却ではなく、土地の歴史に没入する「マインドフルネス」に近い体験となるだろう。
露天には岩風呂のほか、一人で占有できる「壺湯」も設置されている。このプライベート感のある空間で伝説の島と対峙する時間は、都市部のサウナでは決して得られない、贅沢な情緒的価値をユーザーに提供するはずだ。

700円という価格設定と、顧客満足を完結させる「無料アイス」の戦略
驚くべきは、大人700円という入浴料金である。昨今の高付加価値型サウナ施設の価格高騰とは一線を画し、日常的に通える「地域の憩いの場」としてのアイデンティティを守り抜いている。
その一方で、湯上がり後の「無料アイスサービス」という、ユーザーの心理的満足度を劇的に高めるホスピタリティも忘れていない。サウナ・水風呂・外気浴という「ととのい」のプロセスの最後に、冷たい糖分という直接的な報酬を用意する。この細やかな設計こそが、リピーターを生む鍵となる。
現在は日帰り入浴が中心だが、敷地内では宿泊施設の建設も進んでいるという。これが完成すれば、日本海に沈む夕日を眺めながらの「サウナ合宿」という新たな旅の形が、この泊村から発信されることになるだろう。

「盃温泉 弁天の湯」はどんなサウナーにお勧めか
- 「湿度と香り」を重視するコンディション派:30分毎のロウリュと新築の木の香りを堪能したい人。
- 「風景と物語」を求めるロマン派:弁天島の伝説を感じながら、静かな外気浴を楽しみたい人。
- 「高コスパ」を追求するドライブ派:700円で最新設備と無料アイスの恩恵をフルに受けたい人。


ジョー
公共施設でのオートロウリュ、運営サイドに「サウナ室のコンディションを絶対に腐らせない」という「盃温泉 弁天の湯」の強い意志を感じる。脱衣所が狭いという声もあるようですが、それも「浴室とサウナの体験を優先した」結果だと思えばむしろ愛おしい。新築の木の匂いがするうちに、積丹の潮風に抱かれに行くのが正解です。
盃温泉 弁天の湯
所在地:北海道古宇郡泊村大字輿志内村字茂岩2番23
営業時間:11:00〜21:00(最終受付 20:00)
定休日:毎週火曜日
料金:大人 700円 / 小人 400円
サウナ設備:オートロウリュ付きサウナ、水風呂、外気浴スペース、壺湯
その他:源泉かけ流しの内湯、貸切風呂、無料アイスサービス、宿泊施設(建設中)
URL:https://tomari-benten.com/