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部屋に巨大な“洞窟サウナ”がある宿?佐賀・嬉野温泉「枯淡嬉野」は旅館の中で地形が始まっていた

温泉旅館のスイートルーム、と聞くと、だいたい想像はつく。

大きい窓、いいソファ、静かすぎて「今ここでポテチ食べたらあかんやろ」と一瞬よぎる空気、そして夜にはだいたい何かしらおいしいものが出てくる。そこまではわかる。

ただ、その先の壁が開いて洞窟サウナが出てくるのは、ちょっと話が違う。しかもそれが、「雰囲気だけなんです〜うふふ」みたいなタイプではなく、ちゃんと熱くて、ちゃんとロウリュできて、ちゃんとととのうのだから、なおさら話がややこしい。

枯淡嬉野

2025年10月、佐賀県嬉野市の温泉街にオープンした「枯淡嬉野」は、そういう宿だった。高級温泉旅館としての顔もあるし、美肌の湯として知られる嬉野温泉の魅力もしっかりある。食事もいい。ラウンジもいい。空間もいい。なのにそのうえで、「部屋の中に洞窟をつくる」というぶっこわれっぷり。その一点だけでも、かなり信用できる。

実際に宿泊してみたが、結論から言うと、ここは“泊まるサウナ”としてかなり完成度が高い宿だった。
いや、完成度が高いというより、「旅館って、ここまでサウナに寄ってきていいんだ」と少し笑ってしまう宿だった、と言った方が近いかもしれない。

嬉野という街、足湯の量がちょっとおかしい

福岡方面から車で嬉野へ向かう。嬉野ICを降りて少し走ると、「あ、温泉街だな」という空気が急に濃くなる。

観光地としてギラギラ整えられている感じではない。むしろ、温泉が完全に生活の一部になっている街という印象の方が強い。足湯があちこちにありすぎて、ちょっとした“湯の野良化”だ。気づくとそこらじゅうに湯気があり、人が座っていて、街全体がうっすら温かい気さえしてくる。

枯淡嬉野
「一般社団法人 嬉野温泉観光協会」より引用

昔ながらのスナック、老舗の居酒屋、温泉街らしい土産店、大小の旅館。派手ではないが、そのぶん街の輪郭が濃い。「映え」よりも「沁みる」が勝つタイプの温泉地だと思う。

サウナで言うなら、最新LEDピカピカ施設というより、地元の人が当たり前みたいな顔で通っているのに、入ると異様に良い施設の系統である。そういう場所はだいたい信用していい。嬉野もたぶんその一種だ。

そんな温泉街の中、住宅街の延長みたいな場所に、ふっと現れるのが「枯淡嬉野」である。高い木々、暖簾、静かな高級感。近づくにつれて「これはたぶん良い宿だな」とわかるのだが、同時に「この中に洞窟サウナがあるのか」と思うと、ちょっと情報が追いつかない。

「枯淡嬉野」入口からして、すでにちょっと様子がおかしい

枯淡嬉野

暖簾をくぐって進むと、入口らしき場所が見えてくる。ただ、見た目がほぼである。プロレス技で言うなら「ウォールズ・オブ・ジェリコ」である。

「ここ、もし違ったらかなり恥ずかしいな」と思いながら立つと、その壁が自動で開く。壁が開く宿、アラジンか。なんだか知らないが、壁が開くと人は少しテンションが上がる。これはたぶん人類にあらかじめインプットされている本能に近い。

枯淡嬉野
効果音をつけるなら「ゴゴゴ…」である

中に入ると、盆栽、土の壁、中庭を望む大窓、落ち着いた調度品。いわゆる和モダンなのだが、雑誌の撮影用に“和モダンっぽく置いた”感じではなく、ちゃんとその空間に住んでいる和モダンである。言葉にすると少し変だが、行けば分かるさ。いい和モダンは、だいたい説明が少し変になる。

枯淡嬉野

この宿、建物ごと温泉に入っている

枯淡嬉野

館内を歩いていてまず思うのが、「冬なのにやけに快適だな」ということだ。暖かい、ではなく、“やわらかく快適”なのが印象に残る。

理由を聞くと、館内や客室にはパイプが張り巡らされていて、加水していない熱い源泉を循環させ、室内を暖めているのだという。つまりこの宿、風呂に温泉を入れているだけではない。建物の中身まで温泉で回している。かなり本気だ。

枯淡嬉野

ここまでくると、もはや「宿泊」というより、“建築ごと入浴”に近い。

派手ではないが、こういう部分に宿の思想は出る。サウナ施設でも、本当に良い場所は、スペック表より先に「なんかここ、全部ちゃんとしてるな」という感覚が来る。枯淡嬉野は、その“全部ちゃんとしてる”が一歩一歩で踏みしめられる。

シャワーからも温泉が出る!「枯淡嬉野」は湯の圧が強い

枯淡嬉野

今回1泊目に利用したのはツインタイプの客室。ここでまず「おお」となったのが、シャワーから温泉が出ることだった。

客室風呂が温泉、はある。でも、シャワーまで温泉となると話が違う。体を洗っても温泉、髪を流しても温泉。つまり滞在中のかなりの時間が、うっすら湯治。これは地味に見えて、かなりデカい。

嬉野の湯は、とろとろ、つるつる、ぬるぬる。つまりTTNである。日本三大美肌の湯と言われるが、ここまで来るともう“美肌”というより、湯の主張が強い。かなり堂々と肌に絡んでくる。油断すると床までつるつるなので、足元にはそれなりの緊張感が必要だ。

この宿にいると、だんだん気持ちがひとつになってくる。つまり、「どこまで自分を温泉化できるか」である。

サウナ付き客室史上、かなり上位!枯淡嬉野「インペリアルサウナテラススイート 碧」

枯淡嬉野

さ〜て、ここからが本題だ。2日目に体験した最上級客室「インペリアルサウナテラススイート 碧」は、123平米。数字として見ても広いのだが、実際に入ると「広い」というより、“余白に予算を使っている”感じがしてかなり良い。

最大4人用の部屋だが、2人で使うとかなり強い。新婚旅行、記念日、家族の節目、あるいは「ちょっと人生を回復したい」タイミングにも向いている。問題は、一度これを体験すると、今後の旅館選びの基準が少しおかしくなることである。

ただ、この部屋が本当にすごいのは、単に豪華なだけではない。サウナ好きの身体感覚にちゃんと刺さるように作られているところだ。

「枯淡嬉野」はまずリビングが強い、でも本命はその先にある

枯淡嬉野

部屋に入ると、まず目に飛び込んでくるのがリビング中央の大型スクリーンだ。YouTubeはもちろん、Netflixなどサブスクのアカウントがあれば映像コンテンツも楽しめる。照明を落とせば、かなりちゃんとしたプライベートシアターになる。この部屋ではさすがにバラエティ番組は見られない。雰囲気のある映画なんかを探してしまう。

この時点で、すでにだいぶ楽しい。旅館というより、かなり気の利いた別荘感がある。

枯淡嬉野

そしてその右手には、それに負けない存在感の大窓。春には梅、冬には雪景色も見えるというこの窓は、ただの採光ではなく、外の風景そのものを部屋のインテリアとして取り込んでいる。かなり“良い窓”である。窓にもランクがあるなら、これはうちの窓の10ランクほど上だ。

この時点では、「良い部屋だな」で終わる。ただ、この部屋はそのあとがよくない。良すぎて、話が少し変になる。

ボタンを押すと壁が開く その先に“岩壁”が立っている

ソファの背後に、壁のようにも戸のようにも見える重厚な仕切りがある。そこにある「自動」と書かれたボタンを押すと、またしても壁が開く

枯淡嬉野

そしてその先に現れるのが、室内に立ち上がる岩壁だ。もはや天岩戸のように神々しい。

旅館の客室の話をしていたはずなのに、急に地形の話になる。部屋の中に洞窟のようなサウナ空間がある。実際に見るとかなりおかしい。いい意味でおかしいし、たぶん誰でも一回は「なんでやねん」と言う。言わなくても、心の中では確実に言っている。

枯淡嬉野

最近はサウナ付き客室も増えてきた。ただ、その多くは「部屋の中に個室サウナが置いてある」タイプだ。もちろんそれも十分うれしい。だが、ここはその一段先をやっている。

枯淡嬉野のこの部屋は、“サウナ空間そのものを、客室の中に建築してしまった”。この違いはかなり大きい。

しかもその設計が、ただ派手なだけではない。リビング、浴室、サウナ、休憩スペースの境界をあえて曖昧にすることで、「サウナに入っている時間だけでなく、滞在そのものがずっと気持ちいい」状態をつくっている。ここがすごくうまい。

METOS製ストーブとウッドベッド “半寝サウナ”の説得力がすごい

枯淡嬉野の客室サウナには、METOS製のストーブを採用。この本気感が、サウナ好きとしてはかなりうれしい。

中に入ると、ストーブに向かって足を投げ出すように、2つのウッドベッドが並んでいる。これがかなりいい。もはや発明と言っていい。

枯淡嬉野

サウナって、座面ひとつで印象が変わる。この部屋のサウナは、ただ“座る”のではなく、“体を預けて熱に包まれる”方向に設計されている。リクライニング気味に身を沈めると、足先から全身へ、かなり気持ちよく熱が回ってくる。ちょっと寝そうになる。寝たらたぶん怒られるので寝ないが、身体はかなりその方向へ行く。

外から見ると岩壁は少しワイルドなのに、中に入るとむしろ温かみがあり、落ち着きがあり、上品でリッチ。このギャップもいい。

カップルや夫婦で使ったらかなり強いし、記念日利用にも向いている。少し大人っぽく言うならセクシーだし、もう少しフロサウナっぽく言うなら、かなりダンディなサウナである。

枯淡嬉野

セルフロウリュまで本気 “客室サウナあるある”を超えてきた

枯淡嬉野

もちろん、セルフロウリュ対応だ。

ここでサウナ好きが気にするのは、「見た目はいいけれどロウリュが弱い」という、客室サウナによくある問題である。小型ストーブだと、故障リスクもあって蒸気の立ち方が物足りなかったり、ロウリュの自由度が低かったりすることがある。

だが、ここは違う。このストーブ、高さ150cm級の円柱型で、普通に街のサウナ施設でも見かけるような存在感がある。つまりこれは、「客室に付いているおまけのサウナ」ではなく、“ちゃんと没頭してほしいサウナ”として設計されているわけだ。

ロウリュをすると、空間の輪郭が一段深くなる。洞窟のようなルックも相まって、蒸気の回り方に没入感があり、熱のまとわりつき方が気持ちいい。こういうとき、人はだいたい「めっちゃいい」としか言えなくなる。

水風呂、半露天、外気浴デッキ 導線がきれいすぎる「枯淡嬉野」

サウナを出ると、左手に半露天空間が開ける。この時点で、サウナ好きは少し笑う。「あ、これ良いやつだ」とわかるからだ。

まず水風呂があり、その先に露天風呂がある。もちろんこれも温泉。そして窓を開けると、この部屋専用のウッドデッキへ出られる。

バスローブを羽織って外へ出ると、ととのい椅子がある。滞在時はちょうど梅の花が咲いていて、庭を見下ろしながら風を浴びることができた。これが本当に気持ちいい。“宿泊サウナの外気浴としてかなり理想に近い”と思う。

しかもこのデッキ、ただ気持ちいいだけではない。ここでととのっている姿が、室内から見えるのだ。

そう、最初に「かなり良い窓だな」と思っていたあの大窓が、ここで効いてくる。外気浴している人の姿そのものが、部屋の景色になる。家族やパートナーがととのっている様子が妙に絵になるので、見ている側までちょっと満たされる。思い出の残り方まで、ちゃんとデザインされている感じがする。

最後は露天風呂へ戻る。サウナ、水風呂、外気浴、そして温泉。なんだよ、めっちゃいいじゃないか!

しかも最後が、高pHのとろりとした美肌の湯なのがずるい。サウナ後の肌に、嬉野の湯が天然の化粧水みたいに乗ってくる。サウナと温泉の相性が、かなりいい方向に噛み合っていた。つまりこれは、“ととのいながら保湿する”という、かなり都合のいい話である。

スイートだけじゃない 大浴場サウナもちゃんと強い

ここまで読むと、「はいはい、それ、スイートだからすごいんでしょ。わかるわかる」と思うかもしれない。ところが、枯淡嬉野の偉いところはそこだけでは終わらない。

サウナなし客室に泊まっても、大浴場サウナがちゃんと本気なのだ。これは宿泊サウナとしてかなり重要なポイントだと思う。サウナ付き客室がすごい宿はたまにあるが、大浴場までちゃんと強い宿は信用度が一段上がる

男女ともにサウナ+天然温泉露天風呂を備え、さらに朝晩で男女入替制。つまり、翌朝にはもう片側の浴室も楽しめる。こういう細かい満足度の積み重ねが、宿としての印象をかなり底上げしてくる。

露天風呂の雰囲気がいい まず温泉旅館として強い

どちらの浴室も、まず露天風呂の空気がいい。内湯から露天へ向かう動線、階段を下りて湯へ入っていく感覚、庭の木々との距離感まで含めて、“ちゃんと温泉旅館に来た”という実感をしっかりつくってくれる。

嬉野温泉らしい、とろとろの肌触りもやはり魅力的だ。ナトリウムを豊富に含むといわれる炭酸水素塩泉で、角質をやわらげ、肌をなめらかにするとされるこの湯は、たしかに“美肌の湯”という言葉に説得力がある。浸かっているだけで、肌が少し喜んでいる感じがする。なんというか、湯がこちらに好意的である。

ただし、本当に床までとろとろなので、転倒には十分ご注意を。床まで美肌の湯である。帰るころには足の裏までツルツルだ。

大浴場サウナもMETOS製 旅館サウナの枠を超えてくる

そしてサウナ。ここも、きっちり手を抜いていない。

男女ともにセルフロウリュ対応で、しかもMETOS製の大型ストーブを採用。温度感もしっかり高く、さらに2段構成なので、上段・下段で体感温度を自分好みに選べる。温泉旅館のサウナとしては、かなりちゃんとしている。いや、かなりちゃんとしているどころか、普通に単体施設としても満足できるレベルである。

窓があるのもいいじゃない。閉塞感がなく、熱の中に少し抜けがある。サウナに入りながら、「このあと温泉に行くか、外気浴に行くか」と考える余白がちゃんとあるのが気持ちいい。

サウナと温泉が競合せず、むしろ互いを引き立て合っている感じがあって、このあたりにも宿としての設計のうまさを感じた。「サウナ派」「温泉派」という不毛な対立を、この宿は静かに無効化してくる。どっちもやればいいのである。

壺水風呂、深水風呂、内気浴、外気浴 休憩の選択肢がちゃんとある

片側の浴室には、浴室内のデッキ状内気浴スペースがあり、そこにインフィニティチェアが置かれている。寒い時期や花粉のシーズンでも、浴室内でゆっくり休めるのはかなりありがたい。しかも足元がウッドデッキなので、見た目にも居心地がいい。つまりこれは、“外に出なくてもちゃんと休める逃げ道”があるということだ。気が利いている。

水風呂にも個性がある。片側は露天の壺湯タイプで、大浴場でありながら少しプライベート感がある。もう片側はしっかり深いタイプで、少し登って入るような造りも含めて身体の沈み方が気持ちいい。朝晩で違う水風呂を楽しめるのは、宿泊サウナとしてかなりうれしいポイントだ。

さらに片側では、サウナと水風呂のあと、温泉の横を抜けて露天の外気浴スペースへ向かう動線になっている。その先のデッキで、高い木々や花を眺めながら風を浴びる時間はかなり良い。少し高い位置から庭を見下ろすような感覚があり、季節の移ろいまで休憩に入ってくる。

つまりこの宿は、どの部屋に泊まっても、サウナ旅としてちゃんと成立する。このバランスの良さは、かなり貴重だと思う。

食事まで強い 佐賀牛と嬉野茶しゃぶしゃぶがかなり刺さる

サウナが良くても、食事が弱いと旅館ステイの満足度は最後の一段が伸びきらない。その点でも、枯淡嬉野はかなり強い。

夕食はコース仕立てで、前菜から魚、肉、締めまで、一つひとつが丁寧につくられている。しかも、ただ豪華なだけではなく、佐賀と嬉野の素材を“ちゃんとおいしく食べさせる”方向に振っているのがいい。旅館の食事で意外と大事なのは、こういう誠実さだったりする。

特に印象に残ったのが、嬉野茶をイメージした抹茶仕立てのしゃぶしゃぶだ。抹茶の香りに、出汁のちょうどいい塩味。そのバランスが上品で、かなり完成度が高い。これは絶品だ。

そしてメインの佐賀牛が、きっちりうまい。サシと赤みのバランスがよく、特製の豆乳抹茶しゃぶしゃぶにくぐらせると、肉の甘みがきれいに立ってくる。

脂があるのに重くないので、親世代や祖父母世代でも最後まで気持ちよく食べられそうだ。豪華さで押し切るのではなく、“優しい贅沢”として成立しているのがいい。

地元のクラフトビールも進むし、刺身の前菜には日本酒の飲み比べも合う。風呂とサウナで身体が開いたあとに、この食事が入ってくるのだから、そりゃあもう強い。正直、「ととのったあとに佐賀牛」は、だいぶ反則である。

朝食の湯葉と佐賀米が、朝からちゃんと強い

朝食もかなり良かった。特に印象に残ったのは、嬉野の「福豊か」を使った湯葉と豆腐である。

火を入れながら、自分たちで仕上げていく。このちょっとした手間が、旅の朝には妙にうれしい。しかも味がしっかりおいしい。ポン酢だけでも十分成立するぐらい、素材の甘みと濃さがある。朝から湯葉でテンションが上がる宿は、だいたい良い宿だ。これはたぶん旅館界の共通ルールである。

そして土鍋で炊き上げた佐賀米。これはもうかなり強い。米がうまい朝食は、それだけでかなり勝ちである。

焼き鮭も、出し茶漬けも、全部の受け皿として白米が優秀すぎる。ただ豪華なだけではなく、“朝を丁寧に過ごさせてくれる朝食”になっていたのが印象的だった。旅館の朝食って、結局「白米が全部持っていく」ことがあるが、ここもかなりそのタイプだった。

お茶と酒のオールインクルーシブまで強い 滞在の密度が高い

さらにこの宿、お茶と酒のオールインクルーシブまでしっかりしている。ここまで揃うと、もはや“宿泊”というより、時間の使い方そのものを預けに来る場所に近い。

エントランスでは、ウェルカムドリンクとして8種類以上のお茶を楽しめる。しかも、ただ置いてあるだけではなく、おいしい淹れ方まで案内されているのがうれしい。嬉野という土地らしさが、こういう細部にちゃんと出ている。お茶に対しても、ちゃんと「お前にも主役をやってもらうぞ」という気持ちがある。

さらに、チェックインからビールやハイボールも飲み放題。風呂の行き帰り、外出の前後、ラウンジで少し一息つくたびに、滞在の満足度がじわじわ上がっていく。こういうサービスって、一発の派手さよりも、「あ、今も飲めるんだ。うれピー」が何回も来ることが強い。

プランによっては、暖炉を眺めながら軽食も楽しめるスイートルーム専用ラウンジも利用可能だ。通常プランでも十分に気持ちいいのに、ここまで用意されると、「時間を溶かす準備ができすぎている」と言いたくなる。

この宿にいると、“時間を忘れる”というより、“時間そのものを味わう”という感覚の方が近い。それが、枯淡嬉野のかなり強い個性だと思う。

ここは“次に誰を連れて来たいか”が自然に浮かぶ宿だった

この宿に泊まって強く残ったのは、「次は誰を連れて来たいか」が自然に浮かぶことだった。

家族。
パートナー。
身近な大切な人。
わいわい騒ぐ旅ももちろん楽しいが、ここは特に“濃い時間を誰かと共有したくなる宿”である。

枯淡嬉野は、温泉旅館であり、サウナ宿であり、食の宿でもある。ただ、それ以上にしっくりくるのは、“時を味わう宿”という表現かもしれない。

エグゼクティブサウナスイート 客室サウナエリア

“淡く枯れる”と書く枯淡。本来の意味とは少し違うのかもしれないが、滞在しているうちに、自分の中に溜まっていた疲れや乾きが、少しずつほどけていく感覚があった。若返る、と言うと大げさかもしれない。でも、肌も気分も、たしかに少し生き返る。少なくとも、サウナと温泉のコンディションはかなり整う。

嬉野で温泉旅館を選ぶなら、“サウナまで本気で味わいたい人”にはかなり強くすすめたい。ここは、かなり上質なサ旅宿である。

そして何より、部屋の中で地形が始まる宿は、そう多くない。それだけでも、行く理由としてはかなり十分だと思う。

編集長

最近のサウナは、”佐賀がアツい!というのはもはや定説だが、枯淡嬉野はその常識を1段上に押し上げている。特別な時間はここから始まるかもしれない。

施設情報|嬉野温泉 枯淡嬉野

  • 施設名:嬉野温泉 枯淡嬉野
  • 住所:〒843-0301 佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙2314
  • 客室数:全18室
  • 温浴設備:大浴場、サウナ
  • チェックイン / チェックアウト:15:00 / 11:00
  • 料金:ツインルーム(※ソース記載途中のため掲載時は要確認)
  • 公式サイトhttps://goten-resort.jp/kotan-ureshino/

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