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サウナの「なんか体にいい」は、ちゃんと科学だった。

サウナが体にいい、という話は聞いたことがある。でも「なんとなくそんな気がする」止まりで、ちゃんと人に説明できる人は少ない。

調べてみたら、思っていたより全然すごかった。フィンランドの研究者たちが20年以上かけて、2,000人を超える人を追跡し続けた研究があった。その数字は「なんとなく体にいい」という曖昧な話を、完全に別の次元に引き上げるものだった。

この記事では、サウナの健康効果を示す研究を実際に読み解いていく。読み終えたとき、「サウナって体にいいんですよね?」という問いに、数字で答えられるようになるはずだ!

「なんか体にいい気がする」の正体を、フィンランド人が20年かけて調べた

サウナの健康効果

サウナの健康効果を語る上で、どうしても外せない研究がある。

フィンランド・東フィンランド大学のヤリ・ラウッカネン教授らが率いたKuopio Ischaemic Heart Disease Risk Factor Study(以下、KIHD研究)だ。フィンランド東部に住む42〜60歳の男性2,315人を対象に、サウナの習慣と健康状態の関係を追跡した大規模なコホート研究である。追跡期間の中央値は20.7年。これだけ長期間・大規模にサウナを研究したデータは、世界でもほかにほとんど存在しない。

この研究が2015年、権威ある医学誌「JAMA Internal Medicine」に掲載されたとき、サウナの立ち位置が変わった。それまで「フィンランド人の文化的な習慣」として扱われていたサウナが、初めて科学的な文脈でまともに語られるようになったのだ。

研究の対象となったのは「純粋なフィンランド式サウナ」だ。平均室温79℃、1回あたり平均14分。日本のサウナと大きく変わらない条件である。この点は、研究の結果を日本のサウナ習慣に当てはめて考える上で重要な前提になる。

「週4回以上」の数字が示す、心臓への効果

サウナの健康効果

KIHD研究が示した数字の中で、最もインパクトが強いのが心血管系への効果だ。

週に1回しかサウナに入らない群と比較して、週4〜7回入る群では突然心臓死のリスクが63%低く、冠動脈疾患による死亡リスクが48%低いという結果が示された。全死因死亡率についても、週2〜3回の群で24%低下、週4〜7回の群で40%低下という関連が見られた。

(出典:Laukkanen T, Khan H, Zaccardi F, Laukkanen JA. JAMA Intern Med. 2015;175(4):542-8. doi:10.1001/jamainternmed.2014.8187)

これだけ見ると「週4回以上サウナに入れば心臓が守られる」と断言したくなるが、ここで一つ重要なことを伝えておかなければならない。

サウナの健康効果

この研究は「相関関係」を示したものであり、「因果関係」を証明したものではない。サウナに頻繁に行く人は、もともと健康意識が高く、運動習慣や食生活も整っている可能性がある。JAMA Internal Medicine誌上でも、この点について「サウナと死亡率の関係は因果関係ではないかもしれない」という反論(Kivimäki M et al., 2015)が掲載されており、研究チームもその可能性を認めた上で「さらなる研究が必要」と結論付けている。

数字は本物だ。ただし「サウナが直接心臓を守る」と言い切れるほど、科学はまだ進んでいない。「強い相関がある」というのが現時点での正確な表現だ。

心臓だけじゃなかった——脳・認知症への効果

サウナの健康効果

KIHD研究は心臓だけにとどまらなかった。同じ研究データをもとに、認知症との関係を分析した論文が2017年に発表された。

認知症リスクが最大66%低下、という数字

週4〜7回のサウナを習慣とする群は、週1回の群と比較して、認知症の発症リスクが66%低く、アルツハイマー病のリスクが65%低いという関連が示された。週2〜3回の群でも、認知症リスクが22%低い傾向が見られた。

(出典:Laukkanen T, Kunutsor S, Kauhanen J, Laukkanen JA. Age and Ageing. 2017;46(2):245-249. doi:10.1093/ageing/afw212)

この数字は心血管系の結果と同様、因果関係の証明ではなく相関の観察だ。しかし、別の大規模研究もこの傾向を支持している。

フィンランドの13,994人(男女・30〜69歳)を最長39年間追跡した研究(Knekt P et al., Prev Med Rep. 2020)では、月9〜12回サウナを利用する群が月0〜4回の群と比較して、認知症リスクがおよそ半減する傾向が示されたと報告されている。

2つの独立した大規模研究が同じ方向の結果を示しているという事実は、偶然とは考えにくい。一方で、フィンランドの研究参加者は幼少期からサウナに親しんでいる人が多く、「生涯を通じたサウナ習慣」の効果を示している可能性もある。短期間のサウナ習慣に同様の効果があるかどうかは、まだわかっていない。

サウナの健康効果

メンタルと代謝への効果

サウナが精神的な健康に与える影響についても研究が進んでいる。Mayo Clinic Proceedingsに掲載されたレビュー論文(Laukkanen JA et al., 2018)によると、定期的なサウナ習慣は精神疾患リスクの低下との関連が示唆されており、うつ症状の改善にも一定の効果がある可能性が報告されているという。

また、サウナ中の心拍数上昇は中程度の有酸素運動に相当するとも言われており、代謝への好影響が期待される。ただしこれらについては、心血管・認知症の研究ほど大規模な長期データがあるわけではなく、現時点では「可能性が示唆されている」段階だと理解しておくのが正確だ。

サウナの健康効果

なぜサウナは体にいいのか——メカニズムを整理する

サウナの健康効果

数字の背景にある「なぜ」が気になる人のために、現在考えられているメカニズムを整理しておく。ただしこれらはまだ研究途上であり、「有力な仮説」として読んでほしい。

深部体温の上昇と血管への効果

サウナ室では深部体温が上昇し、血管が拡張する。この状態は心臓に対して「適度な運動」と似た負荷をかけると言われている。定期的にこの状態を繰り返すことで、心肺機能が鍛えられる可能性がある。

サウナの健康効果

ヒートショックプロテイン(HSP)の産生

熱ストレスにさらされた細胞は、自己を保護・修復するためにヒートショックプロテインと呼ばれるタンパク質を産生するとされている。このタンパク質が細胞の老化や損傷を防ぐ役割を果たしている可能性が指摘されており、サウナの長期的な健康効果との関連が研究されている。

サウナの健康効果

自律神経への刺激

サウナ→水風呂→外気浴のサイクルで自律神経が大きく動く。この繰り返しが心肺系のトレーニングになっているという仮説がある。また、サウナ後のリラックス状態でストレスホルモンであるコルチゾールが低下するという研究報告もある。

これの状態がいわゆる「ととのいの仕組み」にも繋がっているのかもしれない。

これらのメカニズムはどれも「完全に証明された」とは言えない段階だが、複数の方向から健康効果を支持する証拠が積み上がっているのは確かだ。

サウナの健康効果

効果が出やすい頻度と条件——研究から逆算する「使い方」

ここまでの研究データから、実践的な使い方を逆算してみる。

頻度について

KIHD研究の結果を見ると、効果の閾値は「週2〜3回」にあると考えられる。週1回との比較で、週2〜3回の群でも突然死リスクが22%、全死因死亡率が24%低い傾向が示されているためだ。毎日行けない人への朗報として、週2〜3回から始めることで一定の関連が見られる可能性がある。

もちろん週4〜7回の群が最も大きな数字を示してはいるが、週4〜7回のサウナを日常的に実践できる人は多くない。「週2〜3回を習慣にする」ことが、現実的かつ研究データに基づいた目標設定だと言えそうだ。

時間について

研究の対象となったサウナの平均入浴時間は1セッションあたり14〜15分程度だ。KIHD研究では「19分以上の入浴」の群でより強い関連が見られたという報告もある。ただしこれは1セッションの合計時間であり、無理に長時間入ることを推奨するものではない。体の感覚を優先しながら、徐々に慣れていくことが重要だ。

正しいサウナの入り方をしっかりと頭に入れておくと入りやすい。

注意が必要な人

サウナは健康な成人には概ね安全とされているが、以下に該当する場合は必ず事前に医師に相談することを強く勧める。

  • 高血圧・心臓疾患・不整脈がある人
  • 妊娠中の人
  • 急性の感染症・発熱がある人
  • 飲酒直後の人

KIHD研究はあくまで「健康な中高年男性」を対象としたデータであり、全ての人に同様の効果があることを保証するものではない。

サウナの健康効果、よくある質問

サウナの健康効果は科学的に証明されているのですか?

大規模なコホート研究(Laukkanen et al., JAMA Intern Med, 2015など)によって、定期的なサウナ習慣と心血管疾患リスク低下・死亡率低下の間に強い相関が示されています。ただしこれらの研究は相関関係を示したものであり、サウナが直接的な原因で健康になると断言できる段階には至っていません。「体にいい可能性が高く、科学的な根拠がある」というのが現時点での正確な表現です。

どのくらいの頻度でサウナに入れば健康効果が期待できますか?

KIHD研究のデータを参照すると、週2〜3回の時点で週1回と比較した健康指標の改善傾向が見られています。週4〜7回でその傾向がさらに大きくなりますが、まずは週2〜3回を継続することが現実的な目標といえます。頻度とともに、継続することが重要だと考えられています。

サウナは認知症予防に効果がありますか?

フィンランドのKIHD研究(Laukkanen et al., Age and Ageing, 2017)では、週4〜7回のサウナ習慣がある群で認知症リスクが週1回の群より66%低いという関連が示されました。別の大規模研究(Knekt et al., Prev Med Rep, 2020)でも同様の傾向が報告されています。ただし因果関係の証明には至っておらず、「関連が示唆されている」段階です。

サウナで心臓に負担がかかるのではないですか?

健康な人にとっては、サウナ中の心拍数上昇は中程度の有酸素運動に相当する適度な刺激とされており、必ずしも悪影響とは考えられていません。むしろKIHD研究では、定期的なサウナ習慣が心血管リスク低下と関連することが示されています。ただし、高血圧や心疾患がある方は必ず医師に相談してから利用してください。

日本のサウナにも同じ効果が期待できますか?

KIHD研究の対象はフィンランド式サウナ(平均室温79℃)ですが、日本の多くのサウナも同程度の温度帯で運用されており、条件として近いと考えられます。ただし研究対象が「フィンランド人男性」であり、日本人への外挿には慎重さが必要です。研究者らも「さらなる研究が必要」と述べており、異なる人種・文化での検証が望まれています。

「なんか体にいい」は、これからは「ちゃんと体にいい」になる

20年間・2,000人超のデータが示したものは、「サウナが体にいい可能性は、なんとなくではなく、かなり高い」という事実だ。

念のため繰り返しておくが、研究が示すのは「相関」だ。サウナに頻繁に行く人が健康である理由は、サウナそのものだけでなく、そういう習慣を持てるライフスタイル全体にある可能性もある。「サウナさえ入れば万事OK」という話ではない。

それでも、これだけ大規模な研究が同じ方向の結果を示し続けているという事実は重い。「なんとなく体にいい気がする」から「根拠のある確信がある」へ。その一歩を踏み出すのに、十分すぎるデータだと思う。

次のサウナが、少し違う意味を持つようになったならうれしい。

編集長

ということなので、健康になるということ!自信をもってサウナに行こう!

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