
サウナ室を出た瞬間、肌をなでる風に思わず目を閉じる。
火照った身体がゆっくりと落ち着き、呼吸が深くなる。外気浴のあの時間は、サウナ好きにとって特別な瞬間だ。
しかし、その“外気浴の風”を屋内で再現できるとしたらどうだろうか。さらに、その心地よさを数値として可視化できるとしたら――。東京・御徒町の都市型サウナ「HUBHUB御徒町」で、サウナ体験を科学的に検証する新しい取り組みが始まる。
2026年3月16日、パナソニック株式会社 空質空調社と株式会社ShareTomorrow、株式会社100plusは、気流デバイス「ととのう風」を用いたサウナ体験の検証を開始する。さらに今回は、サウナ専用スマートウォッチとアプリを活用し、「ととのう」という感覚を数値データとして分析する試みだ。
つまり、これまで感覚で語られてきたサウナ体験が、いよいよデータで語られる時代へと踏み出そうとしている。
「ととのう風」が生み出す屋内外気浴
近年、サウナ人気は大きく高まりを見せている。特にサウナ、水風呂、そして外気浴を繰り返すことで得られる「ととのう」と呼ばれる心地よい感覚が、多くのサウナ愛好者を惹きつけている。
そこで注目されているのが、パナソニック独自の気流制御技術によって開発された「ととのう風」である。等間隔に配置された柱のスリットから風を吹き出す構造が特徴だ。これにより、周囲の空気を巻き込みながら誘引気流を発生させる仕組みとなっている。
さらに、一般的な扇風機の羽根によって生じる微細なノイズを抑える設計となっており、乱れの少ない滑らかな気流を実現。結果として、サウナの休憩室に設置することで、屋内でも屋外で外気浴をしているような体験を提供する。
実際、この装置は2024年8月から「HUBHUB御徒町」に設置されており、これまでに4,000人以上が体験してきた。したがって今回の検証は、体験の感覚を客観的なデータとして捉える新たなステップとなる。

サウナ体験を「ととのい値」で可視化
今回の検証では、サウナ専用スマートウォッチ「SHOWDOWN1」を使用する。このデバイスは腕に装着することで、サウナ・水風呂・休憩時の心拍数を計測できる。取得されたデータは、サ活アプリ「サの国」で解析される。そしてサウナ体験の傾向を「ととのい値」として可視化する仕組みだ。
また、本検証では「ととのう風」を設置したサウナと未設置のサウナを比較する。つまり、同じ施設内で気流デバイスの有無によるサウナ体験の違いを測定する形となる。
なお、この研究には100plus CEOであり、日本サウナ学会代表理事でもある加藤容崇医師が協力。医学的な視点からサウナ体験の分析が行われる予定だ。
その結果、これまで感覚的に語られてきた「ととのう」という体験が、より客観的に理解される可能性がある。

鉄道高架下に生まれた都市型サウナ空間
検証の舞台となる「HUBHUB御徒町」は、JR山手線の鉄道高架下を活用した施設である。ShareTomorrowが手掛ける遊休不動産の有効活用事業「HUBHUB」の一つとして誕生した。
ここではサウナだけでなく、BBQやカフェ・バーも併設されており、情報発信空間としての役割も担う。また、2種類のサウナはそれぞれ最大5名で貸切利用が可能。さらにセルフロウリュができるフィンランドサウナや水風呂、外気浴スペースも備えている。
したがって、都市にいながらサウナ体験を楽しめる場として、多くの利用者が訪れている。

サウナ体験はデータの時代へ
これまでサウナの魅力は、「感覚」によって語られることが多かった。しかし今回の検証では、心拍数データをもとにサウナ体験を可視化する試みが進められる。
つまり、サウナの心地よさを科学的に理解する第一歩とも言える。今後、サウナの入り方や環境設計に新たな指標が生まれる可能性もある。
都市の高架下にあるサウナ施設から、サウナ文化の次のフェーズが静かに始まろうとしている。
「ととのう風」 HUBHUB御徒町
検証期間:2026年3月16日~4月中旬
場所:HUBHUB御徒町(東京都台東区上野5丁目10-6)
方法:サウナ専用スマートウォッチ「SHOWDOWN1」を装着して入浴(貸出機あり)
検証予定人数:約200人
営業時間:10:00~23:00(年末年始除く)
URL:https://hubhub.jp/facility/okachimachi