ホーム » 全ての記事 » 体験ルポ|原宿の「マイサウナ暖力」は、昭和と令和が融合したプライベートサウナだった!

体験ルポ|原宿の「マイサウナ暖力」は、昭和と令和が融合したプライベートサウナだった!

by furosauna

昨今のコロナ禍も相まってプライベートサウナ」の新店舗が続々とオープンしている。誰にも邪魔されることなく一人黙々と汗を流せるその「自由さ」は、大箱のサウナとは異なる新しいサウナの楽しみ方の一つとして定着した。

東京都には2022年10月現在で85件ものプライベートサウナが存在する(フロサウナ調べ)。コロナ禍がもたらしたこのブームはまだまだ留まることを知らず、現在オープン前のものを含めるとその数はさらに増える。まさに「プライベートサウナ元年」とも言えるだろう。

そんな群雄割拠の「プライベートサウナ戦国時代」の現代で、2021年11月にオープンした原宿のプライベートサウナ「マイサウナ暖力」に今回は潜入した。2020年〜2022年の個室サウナランキングでも上位に食い込む有名店だ。そこには最新の設備と洗練された空間に加え、店主のこだわりが詰まったサウナがあった。それは昭和と令和のサウナのかたちが融合したような、まったく新しいサウナの形のように見えた。

若者があふれる原宿に、突然現れる「暖」の文字

原宿の竹下通りを抜けてすぐ、若者があふれるオシャレなショップが立ち並ぶ場所にそれはあった。ひと昔前なら「原宿にサウナ」なんていうことは考えられなかったが、そんなことは過去の話。現代のサウナ文化は若者の中にこそ本流があるのかもしれない、そんなことを思いながら「マイサウナ暖力」に到着した。

入口には清潔感のある暖簾。今「のれん」とキーをタイプして気づいたが、「暖簾(のれん)」にはマイサウナ暖力の「暖」の漢字が入る。店名の字が入っているから暖簾がかかってるのか。なるほど洒落がきいている。

入口を入ると明るい受付スペースが広がる。決して広くはないが全体的に清潔感があり、そして何より静かだ。近くにサウナ室があるため静かさは大事。プライベートサウナならではの空間だろう。

受付はネット予約なので、名前を告げてコースを確認するだけでスムーズだ。ここで飲み物を購入することもできる。サウナハットのレンタルも可能。

ここにも暖簾が。ロゴもオシャレだ。

最小限の歩数で「ととのう」コンパクト設計の空間

さっそくサウナ室へ。案内される際、店主に「熱いんで気をつけてください」と忠告されるが、この時点でまだ私はこの忠告の本質を理解していない。この後にそれを身を持って思い知ることになる。

部屋はコンパクトな作りだが、最小歩数で全てが完結する作りとも言える。休憩椅子の種類は部屋によって異なるが、コールマンのインフィニティチェアがおいてある部屋もある。

必要なものは手元で全て揃う。スマホの充電も可能。諸々の使い方が記載されたプレートもあり、使い方に迷うこともない親切設計だ。写真右の白い筒は冷水が満たされたドリンクホルダーとなっており、常に飲み物を冷たい状態で保ってくれる。

体を冷やすのはエアコンとサーキュレーター。風量の調節も自分の好きな風量をお好みで。部屋やサウナ室の明るさも壁のスイッチ類で調整できる。

いざサウナ室へ!カメラも止まる鬼セッティング

そしていよいよサウナ室へ。サウナ室へはシャワー室を通る設計となっているので、まずはしっかりと体を清める。大型のシャワーが頭上にあるので一気に洗える。これはサウナ後の汗を落とすのも便利だ。

そしてサウナ室へ。熱い。思いっきり熱い。壁面の温度計を確認すると100℃。いやいや、私もいくつも100℃超えのサウナは体験しているが、これは100℃どころじゃない。温度計が甘めなのかと思ったが、恐らくプライベートサウナ特有の温度感覚なのだ。サウナ室が大箱のサウナよりも当然ながら狭いので、室温のムラがないということだ。店主が言っていた「熱いので気をつけてください」の意味をここで理解する

セルフロウリュも可能なので、柄杓からアロマ水をゆっくりと一度サウナストーンへ。これもまた狭いサウナ室特有で、どストレートに強烈な蒸気が体を襲う。「いい香り」とのんきに言っていられるのも一瞬で、これも熱い。私もサウナ歴は長いはずだったが、久々に数分で退散しそうになる。しかしそこはベテランの意地で10分耐える。

店主いわく、「サウナ室を真っ暗にして瞑想するのがいいんですよ」と。確かにこの極限状態での瞑想時間は、新しい自分を発見するにはベストなものかもしれない。

そしてここでなんと、熱によりカメラが強制終了する。シャッターが切れないどころか、電源が入らなくなる…。「ひょっとして、熱で壊れた…?」と一瞬ヒヤリとするも、サウナ後に冷やしたら復旧した。100℃、恐るべし…。

至福の水風呂時間。生に感謝をする一瞬

ある種の「修行」のような時間を攻略した先には、至福の「水風呂」時間だ。シャワーで汗を落として、一気に浸かる。体中の熱が冷却されて喜びで満たされる。まるで天使たちが私を祝福し、「よく頑張ったね」と微笑んでくれているかのよう。脳内に流れるのはベートーベンの「歓喜の歌」だ。生きていることに感謝をし「また明日も生きるぞー!」と、パンクラスの船木誠勝がバス・ルッテンに敗北した後のような状態となった。

水風呂は好みの温度に調節するため、板氷も用意されている

休憩椅子に腰をかけると、もう全身が弛緩している。サウナ、水風呂、休憩の動線が短いので、全く無駄がなく「ととのう」状態までいける。座った瞬間ととのいそうになるが、まだまだ1セット目。より深いととのいのために、ととのう瞬間に立ち上がり2セット目へと向かう。激アツのサウナ室へ向かう姿はもはや戦いに向かう戦士だ。「I’ll be back」と心のなかでつぶやいて、サウナ室のドアを開けた。

3セット後に待っていたのは、これまでにない「ととのい」

2セット目に突入し、少し視野が広がったことを実感する。1セット目は熱さにやられた感は否めなかったが、2セット目には少し冷静に周りを見られるようになった。するとそこには寝そべる用の木の枕があるではないか!全然見えていなかったことも衝撃だが、サウナ室で寝そべるという贅沢な時間はプライベートサウナならではだ。

ロウリュを一度してから横になる。楽だ。頭が高い位置にこないので、全身が均一に熱される感じがある。熱いことに変わりはないのだが、これならさっきよりも心の余裕が生まれる。この調子であと数セットこなそう。

そして、3セットをこなし無事にととのったわけだが、ここで初めての体験がおきる。全身が震えているのだ。当然寒いわけではない。全身に新鮮な血液が流れ込み、頭も体も喜んでいるのだ。極限状態からの急激な緩和の繰り返しにより、深い「ととのい」へといざなわれたのだ

いつも行く大箱のサウナももちろんいいのだが、プライベートサウナもいい。その2つは全く違う場所だ。通常の安心感を得られるものが前者なら、後者は私にとって新しい「ととのい」を得て、生の喜びを感じられる場所だ。安堵と歓喜。大箱もプライベートも同じ「サウナ」という空間でありながら、得られるものはそれぞれ異なる。

令和に生まれた「プライベートサウナ」文化と、昭和の匂いを色濃く残した熱々の「昭和ストロング系サウナ」の融合。それがまさしくこの「マイサウナ暖力」が目指したサウナの形なのだろう。若者があふれる原宿の地で、全く新しい「ととのい」の扉を開いてしまったかもしれない。

熱いのはサウナだけじゃない!店主も熱い男だった

今回初体験となった「マイサウナ暖力」。このプライベートサウナを切り盛りするのが店主の矢田さんだ。矢田さん自身も大のサウナーで、よく一人でサウナ室にこもり瞑想にふけるという。

そんな矢田さんに「マイサウナ暖力」の魅力を伺った。

店主の矢田さん。お熱いのがお好きだ

――いやー、熱かったです(笑)

100℃ってやっぱり熱いですよね。でもこの熱いのがいいんですよ。熱いのが好みの方はやはり常連になってくださっていますね。私自身も熱いサウナが好みなんです。

――入る前に「熱いので気をつけてください」とおっしゃってましたが、そのときは「またまた〜。こっちもそこそこサウナ歴が長いんだぞ」と心のなかで息巻いてたんです。でも、あのサウナ室は“気をつけなければいけない”感じです。

けっこうみなさんそうおっしゃいます。完全に私の好みの温度です(笑)

――なんとなく昔ながらの昭和のサウナを彷彿とさせるような、新しさと懐かしさがありました。

熱いから昭和のドライサウナみたいですよね。一応フィンランドサウナを謳っているんですけどね。看板にもフィンランドサウナって書いてるし。「看板に昭和のサウナって書いちゃえば?」って言われることもあります(笑)

――人によって好みは分かれるところかもしれませんが、私は熱いサウナは好きなのでとてもよかったです。

ガツンとくるのが好きなのは私もですね。なんとなく日本人にはそういったサウナのほうが合っているんじゃないかと思っているんですよ。私も店のサウナに入ることは多いですが、熱いサウナで真っ暗で瞑想状態にして、吹き出た汗がゆっくりマットに消えていく様を見るのが好きなんですよね。

――まさに諸行無常…。深い瞑想状態ですね。

サウナ室で座禅を組んでいるみたいなもんですよね。毒素が抜けていく感覚があります。

――汗の一粒一粒に煩悩が詰められ、それを落としているような感覚ですね。もはや除夜の鐘。

そうそう。汗で腹黒さも落とさないとね(笑)

――私もオススメいただいたので、部屋を真っ暗にして入ってみたんです。静寂のサウナ室は大箱のサウナとは全く別物ですね。

そうでしょ。でも時間も限られているから、短い時間だとちょっと足りないかもしれないですね。今度は4時間半コースで来てください(笑)

――お客さんも若い方が多いですね。(インタビュー中も若いお客さんが入ってくる)これも原宿にいる感じがあります。

女性の若い方も多くなりましたね。スパとは違い、一人で自由に過ごせるのがいいんだと思いますよ。何度もご利用いただいている方も多いです。「100℃超え、本当に気持ちいいです!」なんて言われると嬉しくなりますね。冬にセッティング甘くて95℃とかになってると「今日、ちょっとぬるかったです」なんて言われちゃいますけど。

――この昭和の熱さに耐えられるというのはなかなかですね…。

逆にそれがいいんでしょうね。ストイックにサウナに入ることになるから美容にもよさそうで。こちらとしては「昭和のサウナにようこそ!」という感じで迎えてます(笑)
毎月、ロウリュ用のアロマも変えているので、それも好まれてますね。

――100℃をキープしようと思うと、機材のメンテナンスも大変だと思います。

そうですね。割とすぐに熱でダメになってしまうので、細かい部分は頻繁に修理していますね。温度を下げればいいのかもしれませんが、それでもやっぱりこの温度にはこだわりたい部分です。

――古き良き「おじさんの我慢大会」と言われるような、銭湯サウナの雰囲気があります。

私も昭和時代を生きてきた人間ですので、やっぱりそのときのサウナのイメージは頭にあるんでしょうね。逆に水風呂はそこまで冷たくはしてないんです。冬場はどうしても冷たくなりますけど、好みとしては20℃前後がちょうどいいんです。

――頼めば氷も入れてくれるんですよね。

水風呂の温度は本当に人によって好みがバラバラですからね。キンキンが好みの方もいらっしゃいますから、そういった方のために板氷を用意しています。

オリジナルの「ベストサウナハット」

――ちなみに利用者はどういった方が多いんですか?

20代から30代の方が多いですね。新規の方も多いですが、3日に1回は来てくださるリピーターの方もいます。いつも忙しくされてる中、プライベートな時間をきままに過ごしたいのかもしれませんね。月に1回来てくださる方は、頑張った自分へのご褒美のように利用されているようです。プライベート空間なので有名人の方も多かったりはしますね。

――矢田さんとしては、どういった方にオススメですか?

プライベートな空間で周りの人に気をつかわなくてもいいので、サウナ初心者の方にはオススメですね。大きいところだと他人の目も気になりますし、どうやってサウナを楽しんでいいのか分からない部分も多いかと思います。プライベートサウナなら自分で色々試しながら入ることもできるので、「ととのう」までの近道になるかもしれません。サウナ初めての人でも聞いていただければ入り方をお伝えしたり、サポートさせていただいてます。

――それは嬉しいですね。サウナって初めてだとどうしていいか分からなかったりしますから。

人によって「ととのう」って違いますからね。自分が一番気持ちいい状態にどうやったらたどり着くか、プライベートサウナなら導き出せるかとは思います。

――サウナハットのレンタルもされていますね。

これも初心者の方には好評ですね。「ベストサウナハット」でオリジナルのハットを作ってもらいました。サウナハットの有無でどう変わるのかも試してもらえたらと思います。

――本日はありがとうございました。

マイサウナ暖力

東京都渋谷区神宮前3丁目21−21 とびたビル1F奥

営業時間:AM7:00~AM4:30

利用料金:
80分/5,400円(税込)
120分/8,100円(税込)
深夜4時間半パック(0:00~4:30)/8,800円(税込)
サウナハットレンタル:100円(税込)

合わせて読みたい

フロサウナの専門メディア

©2022 furosauna. All Right Reserved.

フロサウナは、いま注目のフロ、サウナ、スパなどの情報を求めさまよう「温浴開拓者」たちの「温浴メディア」です。